広島県の北側には中国山地が広がり、県内には製材工場が数多く稼働している。住宅用の建材を製造・販売するウッドワンは廿日市市(はつかいちし)にある本社工場の構内にバイオマス発電プラントを建設して、2015年3月に運転を開始した(図4)。
発電能力は5.8MWで、年間の発電量は4730万kWhを想定している。1万3000世帯分の電力使用量になり、廿日市市の総世帯数(5万世帯)の4分の1をカバーすることができる。燃料に使う木材は年間に5万4000トンにのぼる。自社の製材工場から出る端材のほか、県内の未利用木材やリサイクル木材も調達する予定だ。
中国地方では間伐材などの林地残材や製材に伴う端材が大量に存在する(図5)。特に中央に位置する広島県は製材端材の利用可能量が他県を上回る。呉市(くれし)に本社がある製材大手の中国木材でも、本社内の工場にバイオマス発電所を建設中だ。2016年12月に運転を開始する予定で、発電能力は10MWに達する。
木質バイオマスだけではない。ごみの焼却施設でもバイオマス発電が始まろうとしている。東広島市と竹原市、さらに大崎上島町が共同で、ごみと下水を一環処理できる新しい施設を建設する計画がある。従来は3地域が個別にごみと下水を処理してきたが、1カ所に統合して運営コストを低減する狙いだ(図6)。
ごみの焼却熱を利用した高効率の発電施設を新たに建設して、発電した電力を下水の汚泥処理に利用しながら余剰電力を売電する。2017年度に工事を開始して2020年度に稼働する予定だ。現時点で発電設備の詳細は明らかになっていないが、1日に300トンのごみと300キロリットルの下水を処理できる能力を備える。
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