東芝が京浜急行電鉄(京急)に納入した全閉型永久磁石同期電動機(全閉PMSM)と4in1VVVF(可変電圧可変周波数制御)インバータ装置を組み合わせた駆動システム搭載の新1000形新造車両が運転を開始した。
全閉PMSMは定格効率97%を実現する高効率なモーター。全閉構造のため内部清掃が不要で、メンテナンス性も向上している(図1)。
4inVVVFインバータ装置は1台の冷却器に対して4つのインバータ回路を配置した4in1インバータユニットを2台搭載しており小型、軽量化が大きな特徴だ。1台のインバータ装置で8台の全閉PMSMを駆動することにより、力行(電力の供給を受けて車両が加速する状態)の消費電力量を削減することができる(図2)。それとともに、同社独自の制御方式で電力回生ブレーキの割合を増やし、回生電力量を増加させ車両全体の省エネも図った。
このシステムでは同社の従来システムと比較して30〜50%の消費電力の削減か見込める。また、開発段階からさまざまな車系・路線で使用可能な性能を満たせるように検討することで、システムが標準化されている。そのため車種によって仕様を大きく変更する必要がなくなり、幅広い車系への搭載が可能だ。
同社の全閉PMSMを採用したシステムは阪急1000系、JR九州305系、阪神5700系などでも導入されており、日本以外のアジア地域でも搭載された車両の運行が始まっている。東芝では今後省エネ性が高く、ライフサイクルコストを抑えた製品をグローバル展開していく方針だ。
東芝が今回納入した新駆動システムは2セット。京急の車両で東芝の全閉PMSMは初めての採用で、同駆動システムの信頼性と全閉PMSMの実績が評価され受注に至ったという(図3)。
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