2016年4月から家庭向けに電力を販売できる小売電気事業者の登録数が100社を超えた。ジュピターテレコムが24社のグループ会社を登録してテレビ・通信・電話と組み合わせたサービスを首都圏中心に展開する。大阪いずみ市民生協は再生可能エネルギーを多く含む電力を組合員に販売する計画だ。
8月3日から始まった小売電気事業者の登録申請数は12月25日の時点で213件にのぼり、119社が年内に審査を通過した。12月28日に新たに審査を通過したのは30社で、そのうち24社はケーブルテレビ最大手のジュピターテレコム(J:COM)のグループ会社である(図1)。
J:COMは北海道・東北・関東・関西・中国・九州の6つのエリアでケーブルテレビを中心に通信と電話を組み合わせたサービスを提供している(図2)。加入世帯数は全国で500万を超えていて、有料のケーブルテレビでは約50%のシェアを握る。
地域ごとに設立したグループ会社が事業を運営する方式で、小売電気事業者には北海道・関東・関西の3エリアにあるグループ会社が登録した。特に需要が大きい首都圏の1都3県に22社が集中している。
J:COMグループは2012年からマンション向けに、高圧(契約電力50kW以上)の電力を一括で供給する「J:COM電力」のサービスを提供してきた。新たに一般家庭や小規模な集合住宅向けの低圧(契約電力50kW未満)の電力も2016年4月から供給を開始する予定だ。ケーブルテレビなどと組み合わせると電力会社よりも割安な料金になる(図3)。
販売する電力は同じ住友商事グループのサミットエナジーから調達する。サミットエナジーも小売電気事業者に登録済みで、企業向けの電力販売で実績がある。自社で火力発電所やバイオマス発電所を運転して、再生可能エネルギーによる電力の供給にも力を入れている。
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