太陽光発電の買取価格は25円へ、住宅用も30円前後まで下がる自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2016年01月20日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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住宅用は設備稼働率が12%から14%へ

 同様に住宅用の買取価格も下がる。発電システムの導入費用は1kWあたり1万円ほど安くなっている(図4)。さらに太陽光パネルやパワーコンディショナーの性能向上によって設備稼働率が高くなった。従来の想定では12%だったが、直近のデータでは14%近くまで上昇している。住宅内で消費した後の電力の余剰率(売電率)も想定値の60%から70%に高まり、売電収入が大幅に増える傾向にある。

図4 太陽光発電(住宅用、出力10kW未満)のシステム費用(画像をクリックすると平成23年=2011年10月〜12月以降を表示)。出典:資源エネルギー庁

 以上の3つの要因が重なり、住宅用の買取価格を大幅に引き下げる可能性が出てきた。かりに設備稼働率を14%に設定した場合には、その効果だけで4円程度の価格低下につながる。そのほかの要因を加えると5円以上の引き下げも考えられる。

 2015年度から住宅用の買取価格は出力制御の必要性によって33円と35円に分かれたが、それぞれ2016年度には30円前後まで低下してもおかしくない状況だ。ただし政府は太陽光発電のうち住宅用は引き続き促進する方針のため、導入意欲を損ねない程度に収める必要がある。

 太陽光を除く4種類の再生可能エネルギーに対しては、2016年度も買取価格を据え置く方向だ。風力と地熱は実績データが少ないこともあって変更する根拠が見あたらない。中小水力は発電方式が数多くあるために、費用のバラつきが大きく、年度による比較がむずかしい。

 バイオマスだけは燃料費の変動があり、燃料の種類によって買取価格を変更することも考えられる。未利用木材と廃棄物で燃料費の上昇が見られる一方、メタン発酵ガス化発電ではシステム費用と運転維持費ともに従来の想定値を大きく下回っている。ただしバイオマスでも実績データはさほど多くないため、2016年度も買取価格を据え置くのが妥当だろう。

 今後は太陽光を中心に買取価格の水準を引き下げながら、発電事業者の導入意欲を阻害しないように、固定価格制から変動価格制へ移行していく。政府が検討中の価格決定方式は4種類ある(図5)。このうち非住宅用の太陽光には、コスト効率が最高水準の発電システムを前提にした「トップランナー方式」を採用する。メガソーラーのような大規模な発電設備には「入札方式」を導入する方針だ。

図5 今後導入する買取価格の決定方式の候補と特徴。出典:資源エネルギー庁

 このほかに将来の買取価格を低減する前提で、あらかじめ将来の目標値を設定する方式も検討中である。住宅用の太陽光と風力に適用する予定だ。変動価格制への移行は2016年度の買取価格と合わせて、3月までに委員会で最終案を固める。ただし法律の改正が必要になることから、実施は2017年度からになる可能性が大きい。

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