原発再稼働を待つ電力会社、新規参入組の低価格プランに挑む「最初の一手」電気料金の新プラン検証シリーズ(12)(2/4 ページ)

» 2016年01月21日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

東北電力は3つのプランを追加、ポイントを復興支援に

 東北電力は現在提供している家庭向け料金プラン「よりそうプラス」に新メニューを追加する。新設するのはのはオール電化住宅向けの「よりそう+シーズン&タイム」、夜9時から朝9時までの料金が安くなる「よりそう+ナイト12」、平日夜10時から朝8時までと休日の料金が安く、単身世帯にもメリットがある「よりそう+ナイト&ホリデー」の3種類だ。

 特に割引率が高いのが「よりそう+シーズン&タイム」だ。現行プランの「よりそう+ナイト8」を利用している契約容量8kVA(キロボルトアンペア)、月平均使用電力970kWh、夜間の使用割合が57%の家庭が切り替えた場合、年間約1万9700円安くなるという。使用量が多い家庭に向けたプランで、季節、時間帯ごとに細かく料金を設定しているのが特徴だ。季節ごとに電気の使い方を工夫すれば、年間の電気料金を抑えられる(図2)。

図2 「よりそう+シーズン&タイム」の料金単価(クリックで拡大) 出典:東北電力

 東北電力が発表した3つの新プランは、基本料金の契約決定方法を実量契約と一般的な主開閉器(ブレーカー)契約から選択できる。実量契約とはスマートメーターを活用して、過去の使用電力量の最大値で契約電力を決める方式だ。企業や自治体が利用する高圧の電気料金では既に採用されている。東京電力が一部の新料金プランで採用している「スマート契約」もこれと同じ方式で、日常的に節電に取り組める家庭であれば、基本料金を引き下げられるメリットがある。

 東北電力は会員制のWebサービス「よりそうeネット」も開始する。会員登録や検針票をWebに切り替えることでポイントも付与する。たまったポイントはPonta、Suica、Waonなど提携他社のポイントや東北地域の名産品と交換したり、震災復興に向けた基金に寄付したりなど、使い方を選べる。

節電した分だけお得になる日本発の料金プラン

 北陸電力は節電要請に応じることで割引が受けられるという日本初の料金プラン「節電とくとく電灯」を発表した。基本料金などの電気料金単価は従来電灯と同じだが、北陸電力がメールなどで通知した時間帯に節電に協力すると割引が受けられる(図3)。

図3 出典:北陸電力

 節電による割引額は、節電した電力量に割引単価を乗じて算出する。節電とくとく電灯プランの場合、13〜16時の1時間の平均節電電力量1kWh(キロワット時)につき、129.6円が割り引かれる。料金単価は現行プランと変わらないものの、節電に協力した分だけ確実に安くなるというのは特徴的なプランといえるだろう。

 ただしこのプランに加入できるのは、契約電流が60A(アンペア)または契約容量が50kVA以上の家庭のみ。電力使用量が多い家庭に向けたプランだ。さらにメールでの節電要請を受けるために、北陸電力の会員制Webサービス「ほくリンク」への加入とスマートメーターの取り付けも必須だ。

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