植物由来のバイオ燃料で飛行機が飛ぶ、オスロからアムステルダムまで省エネ機器(1/2 ページ)

KLMオランダ航空は、2016年春にオスロからアムステルダムの間をバイオジェット燃料を採用した航空機で運航することを発表した。

» 2016年01月27日 09時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 地球温暖化対策の動きがグローバルで広がる中、航空機燃料についてもCO2排出量削減を求める動きが広がっている。国連の専門機関であるICAO(国際民間航空機関)や、民間航空団体であるIATA(国際航空運送協会)は、2020年以降の航空温室効果ガス削減対策の一環として、「代替航空機燃料の活用」を促進することを表明。

 ICAOが2020年にCO2排出量を頭打ちとする目標を策定しており、IATAはこれを踏まえ、2020年までに世界平均年1.5%燃料効率改善、2050年までに2005年比、CO2排出量50%削減という目標を掲げる。この目標の達成には従来のジェット燃料をそのまま使用し続けていれば難しく代替航空機燃料の活用が必須となりそうだ(図1)。その代替航空機燃料として、最も注目を集めているのがバイオジェット燃料である。

photo 図1 ICAOの2050年までのCO2削減の取り組みの方向性 出典:ICAO資料を基に国土交通省・経済産業省が作成

バイオジェット燃料の3つの課題

 バイオ燃料は、再生可能な生物由来の有機性資源(バイオマス)を原料に作られた燃料のことだ。燃焼する時には当然、二酸化炭素(CO2)を排出する。しかし、原料となる作物が成長する過程でCO2を吸収する。そこでトータルでは、CO2排出量しない、再生可能なエネルギーの1つとして見なされている。このバイオ燃料をジェット機の飛行に利用したのがバイオジェット燃料である。

 しかし、バイオジェット燃料を導入し航空機で使用するという環境を実現するためには、主に3つの課題があるとされている(関連記事)。図2は、国土交通省と経済産業省が作成した「バイオジェット燃料導入における課題」だが、この「バイオジェット燃料の生産」「サプライチェーンの確立」「実際の利用時における問題解決」の3つの課題については世界共通だといえる。

photo 図2 バイオジェット燃料導入における課題 出典:国土交通省・経済産業省

 これらの課題を解決するには、国や企業の垣根を超えた新たな枠組み作りが必要になる。KLMオランダ航空(以下、KLM)の取り組みは、欧州での航空機用の持続可能な燃料を実現するイニシアチブ「ITAKA(Initiative Towards sustAinable Kerosene for Aviation)」を中心とした取り組みで実現した。

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