省エネはツールが全てじゃない、“従業員の意識”に訴えかける支援システム省エネ機器

日本テクノは、地球環境とエネルギーに関連する展示会「ENEX2016」(2015年1月27〜29日、東京ビッグサイト)に出展。“従業員の意識”に訴えかける省エネ支援システムを出展した。

» 2016年01月28日 17時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 日本テクノは、「ENEX2016」において同社が展開する省エネ支援システムを紹介。EMS(エネルギーマネジメントシステム)による自動制御などが注目を集める中、あえて高圧向けで「電気の見える化」に特化した形のソリューションにとどめ、「従業員の意識改革」の重要性を訴えている。

 同社はもともと高圧電気設備の保安管理や点検業務などを行ってきたが、その流れで高圧受電設備であるキュービクルの常時監視システムなどを展開。さらにそれを発展させる形で、省エネソリューションおよび電力コンサルティング業務を展開するようになった。

 同社の省エネソリューションの特徴が「電気の見える化」に特化し、省エネに伴う実作業については従業員に任せるという仕組みを取っていることだ。まず、高圧受変電設備に「ESシステム」を設置し、エネルギー管理と常時監視、スマートメーター連携などを行う。これらで取得したデータをリアルタイムで閲覧できる「SMARTMETER ERIA(スマートメーターエリア)」により、オフィス環境で電気の見える化を実現する。スマートメーターエリアにより、あらかじめ目標値を定めておくとその目標値に対して5段階で現在の電力使用状況を示すことができる(図1)。

photo 図1 日本テクノの「スマートメーターエリア」の画面イメージ。赤(最悪)から青(最高)の5段階で目標値との乖離(かいり)を表現する

 さらに、これらの情報と目標値との乖離状況などを「SMART CLOCK(スマートクロック)」を通じて、従業員全員に簡単に知らせることができる。スマートクロックは時計の周囲に60個のLEDベゼルを配置し、緑、オレンジ、赤、青で電力の使用状況を見える化するというものだ。LED表示の変化によって“電気の使い過ぎ”などの状況が一目で分かる(図2)。

photo 図2 スマートクロック。LED表示により電力の使用状況が一目で分かる

 EMSなどの電力制御では、「見える化」後に「自動制御」を狙うベンダーなども多いが、日本テクノでは「自動制御も機能的には可能だが前面に押し出すことはしない」(同社広報)という。そこには、省エネで最も重要なのは「人の意識」だという思いがある。「省エネはツールを導入するだけでは、一時的にある程度下がっても継続できない。何よりも大切なのは、従業員の意識だ。そのため、従業員が気付かない間に電力使用量を削減するような自動制御ではなく、あえて従業員に認知させる『見える化』に注力する」(同社広報)。

 同社はこの省エネ支援システムを既に全国5万1000件に導入しているというが、この意識改革を実践するために導入企業には半年に1回省エネ診断のための訪問を行っているという。これらの意識改革などを継続的に取り組むことで「7年間電力削減をし続けている例などもある」(同社広報)としている。

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