発電量を20年間維持できるのか、ニーズ高まる太陽光発電の運用保守太陽光

固定買取価格制度(FIT)が始まってから、日本各地にメガソーラーの建設が相次いだ。これに伴い発電設備の安定的な運用の保守(O&M)に関するニーズが高まってきている。FITを利用すれば約20年にわたって発電を続けることになるからだ。サンテックパワージャパンこうした市場動向を受け2016年3月からメガソーラーのO&M事業を本格的に展開する。

» 2016年02月12日 15時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 太陽電池モジュールメーカーのサンテックパワージャパンは、2016年3月から太陽光発電所に対する運営および保守管理サービス(O&M)の提供を開始する。国内のO&Mサービスの需要拡大に対応するものだ。同社は2015年9月にO&M事業グループを設立し、同年末には栃木県栃木市に第1号のサービス拠点となる北関東サービスセンターを開設している。

 同社の子会社である子会社のサンテックエナジーディベロップメントが開発した「サンテックパワー笠間市押辺太陽光発電所」(茨城県笠間市)がこのほど稼働した。この発電所に対するO&Mサービスの提供が、北関東サービスセンターを拠点として活用し、電気主任技術者による法定点検も含めたトータルサービスとして実施する同社初の案件となる(図1)。

図1 「サンテックパワー笠間市押辺太陽光発電所」 出典:サンテックパワージャパン

 同社が提供するO&Mサービスは「遠隔監視」「発電量分析」「オンサイト点検」「モジュール精密調査」「定期報告書作成」で構成される。遠隔監視は発電状況やパワーコンディショナの稼働状況を24時間365日体制で監視する。発電量分析は遠隔監視システムが入手した情報から発電量を分析し、システムの稼働状況を診断する。オンサイト点検はサービスセンターからの緊急応動をはじめ、電気主任技術者による法定点検(年1回)、太陽光モジュール、パワコン、受変電設備などの定期システム点検(毎月)を実施する。

 詳細な調査・点検を行えるのがサービスの大きな特徴となっている。モジュール精密調査はソーラーシミュレーターによるモジュールの出力特性値の調査(工場出荷時と同様の測定が可能)、絶縁抵抗計・絶縁耐圧計によるモジュールの電気的特性の調査、サーモカメラを用いたはんだ付け異常、ケーブル異常、コネクタ接続部などの温度異常の調査、ELカメラを使った太陽電池セルの異常調査などが行える。

 定期報告書作成サービスとして、発電所の発電量実績や運用状況を毎月定期的に記録し、長期安定的な発電所運営の支援も行う。サンテックパワージャパンは今回の案件を皮切りに、O&Mサービス事業の拡大を図る方針で、他社開発の太陽光発電所へのサービス提供も目指す。

 なお、サンテックパワー笠間市押辺太陽光発電所はサンテックパワージャパンの太陽光発電モジュールを合計5160枚採用。発電能力は約1.3(MW)で、発電した電気は1kW/時当たり32円(税別)で20年間売電する。

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