北海道の真ん中に水力発電所を建設、6400世帯分の電力を増やす自然エネルギー(1/2 ページ)

周囲を険しい山に囲まれた北海道の美しい町に大規模な水力発電所を建設する計画が始まった。ダムの直下で60年前から運転を続けてきた古い発電所を廃止して、新しい設備を導入して発電能力を増強する。2021年に稼働する予定で、一般家庭の6400世帯分に相当する電力が増える。

» 2016年02月12日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
図1 新得町の位置。出典:北海道電力

 水力発電所の新設計画が始まった新得町(しんとくちょう)は、北海道のど真ん中に位置している(図1)。人口6300人に対して牛が3万3000頭以上もいる酪農の町である。

 町の面積の9割を森林が占めている。山から流れ出る河川の水量を生かして水力発電所が数多く稼働中だ。そのうちの1つは北海道電力の「上岩松(かみいわまつ)発電所」で、1号機が1956年に、2号機が1953年に運転を開始した。

 2基の中で規模が大きい1号機を廃止して、新たに「新得発電所」を建設する計画だ。建設予定地は1号機の建屋に隣接している(図2)。既設の発電設備の一部を流用できるようにして土地の改変を最小限に抑える狙いがある。

図2 「新得発電所」の建設予定地。出典:北海道電力

 新得発電所は2018年度に着工して、2021年8月に運転を開始する予定だ。発電能力は2万3100kW(キロワット)を想定している(図3)。既設の上岩松発電所の1号機は2万kWで、新得発電所が運転を開始する1年前に停止する予定だ。

図3 発電所の概要。出典:北海道電力

 発電所の新設・停止を合わせて供給力は3100kW増加する。年間の発電量は2000万kWh(キロワット時)増える見込みだ。北海道電力の管内では一般家庭の使用量が月平均260kWhであることから、6400世帯分に相当する。新得町の総世帯数(3400世帯)に対して2倍近い規模になる。

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