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» 2016年02月18日 07時00分 公開

自治体が電力会社に挑戦、基本料金も電力量料金も安く電気料金の新プラン検証シリーズ(20)(3/3 ページ)

[石田雅也,スマートジャパン]
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2000世帯の利用状況をもとに時間帯を決定

 みやま市の「オール電化プラン」は、市内の2000世帯を対象にした実証サービスから生まれたものだ。2015年4月からモニターの家庭に設置したHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)を使って、電気料金の診断サービスなどを提供しながら電力の使用状況を分析した(図7)。

図7 HEMSを使った市民向けサービスの実施イメージ。出典:みやま市ほか

 その結果、曜日による使用量の変化が少ない家庭の場合、夕方の18時以降に使用量がピークに達することが明らかになった。特にオール電化の家庭では、昼間や夜間に比べて夕方の使用量が大幅に増える傾向が見られる(図8)。そこで「オール電化プラン」の単価を18時から一律に安くして、電気料金の増加を抑えるようにした。

図8 みやま市民の電力利用状況。出典:みやま市、みやまスマートエネルギー

 これに対して九州電力は「季時別電灯」の新規加入を3月末で停止する一方、新たに「電化でナイト・セレクト」と呼ぶ料金プランを打ち出している。基本料金・電力量料金ともに「季時別電灯」の体系から大幅に変更した。

 「電化でナイト・セレクト」は昼間と夜間の2段階で単価を設定する。それぞれ平日と休日、夏冬と春秋で単価が変わる(図9)。夕方の18時から22時までと平日の朝8時から10時までは「オール電化プラン」よりも高いが、それ以外の単価は安い。ただし契約電力が10kVA(10kWと同等)を超える場合には基本料金が高くなる。

図9 九州電力の「電化でナイト・セレクト」の電力量料金単価。出典:九州電力

 このほかに両者の相違点として電源構成がある。みやま市では九州電力管内の太陽光発電(50kW未満)による電力の買取サービスを実施している。固定価格買取制度の単価よりも1円高く買い取って太陽光による供給力を増やす(図10)。エネルギーの地産地消を拡大する狙いもある。

図10 太陽光発電の電力買取サービス。出典:みやまスマートエネルギー

 対する九州電力は原子力発電所の再稼働を進めて、発電コストを引き下げながら電気料金を抑制していく。みやま市が九州電力の供給力にどのくらい依存するかにもよるが、電源構成に占める原子力の比率は確実に低くなる。そのぶん太陽光を中心に再生可能エネルギーの比率が高くなる見込みだ。原子力を嫌う家庭では電気料金の差が小さくても、九州電力から契約を変更する可能性が大きい。

 みやま市の住民には追加の割引もある。電気料金と水道料金をまとめて支払うと、毎月50円の割引がある。九州電力の管内で3親等以内の家族が一緒に契約を結んだ場合にも、同様に月額50円が各家庭の電気料金から割り引かれる。さらに電気料金1000円に対して5ポイント(5円相当)が与えられて、みやま市内の店舗の商品をインターネットで購入する場合などに利用できる。

 自治体が電力会社に対抗して取り組む小売サービスの先駆けとして、みやま市の動向は大いに注目を集める。計画では毎年2000件ずつ契約を獲得することが目標だ。総世帯数が1万4000世帯の都市で、4年後の2019年までに半分以上の家庭が九州電力から契約を切り替えることになる。

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