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» 2016年02月23日 09時00分 公開

エネルギー列島2015年版(44)大分:地熱発電でトップを独走、太陽光やバイオマスを加えて自給率5割へ (2/3)

[石田雅也,スマートジャパン]

地熱を利用して「スマート農業ハウス」

 九重町に3カ所ある大規模な地熱発電所の中では、「大岳(おおたけ)発電所」が最も長く運転を続けている(図5)。1967年の運転開始から50年近く経過したため、老朽化した発電設備の更新計画が始まった。

図5 「大岳発電所」の全景。出典:九州電力

 従来の発電設備に隣接する場所に新設する方式で、運転開始は2019年12月を予定している。新しい発電機を収容する建屋のほかに、発電後の蒸気の温度を下げる冷却塔も新設する(図6)。そのほかの地下から蒸気と熱水をくみ上げる設備などは現在のまま使い続けてコストを抑える。

図6 「大岳発電所」の設備更新計画(画像をクリックすると拡大)。出典:九州電力

 設備を更新すると、発電能力は従来の12.5MWから14.5MWに増強する。2MWが加わることで、1200世帯分の電力が増える見込みだ。発電方法を従来の「シングルフラッシュ方式」から「ダブルフラッシュ方式」に変更して発電能力を高める(図7)。

図7 「シングルフラッシュ方式」(左)と「ダブルフラッシュ方式」(右)の設備構成。出典:九州電力

 シングルフラッシュ方式では蒸気だけを発電に利用する。これに対してダブルフラッシュ方式では熱水からも蒸気を発生させて、発電に利用できる蒸気の量を増やす。この方法で発電能力を15〜25%引き上げることが可能になる。九州電力は八丁原発電所でダブルフラッシュ方式を導入した実績がある。

 こうして日本最大の地熱発電の町で導入量を拡大する動きが続く一方、温泉で有名な別府市では地熱のユニークな利用方法が始まっている。大分県の農林水産研究指導センターが農業ハウスに「湯けむり発電システム」を導入して、ハウスで使う電力の自給自足を2015年3月に開始した(図8)。

図8 地熱を利用した「スマート農業ハウス」の設備構成(上)、「湯けむり発電システム」の実証機(下)。出典:ツーリズム大分、ターボブレイド

 湯けむり発電システムは地元の企業が開発した簡易型の設備である。100〜150度の高温の熱水で発電することができる。発電能力は約50kW(キロワット)で、年間の発電量は25万kWh程度になる。

 農林水産研究指導センターでは発電した電力をハウス内の冷暖房に利用するだけではなく、温度・湿度・CO2濃度を自動で制御する機能を加えた。地熱エネルギーで「スマート農業ハウス」の効果を実証中だ。

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