ただ、すぐに実用化できるかというとそうではなく、まだ課題が残る状況だ。NANOMETは高効率な材料だが、加工の際に応力などを受けると最適な磁性特性が発揮できない。そのため応力などの影響をできる限り受けない加工工程を確立する必要がある。また、一枚一枚のシートが薄いために積層工程も従来のものより増えるという状況がある。さらにNANOMETに最適な磁性回路の設計などにも改善の余地が残されているという。
井上氏は「工程が増えるということはコストが高くなるということになる。通常の作り方をしていてはコストが高くなるので、工程を減らせる新たな量産方法の確立がポイントとなる」と述べている。
パナソニックでは、量産化技術までを生産技術本部で確立した上で、それぞれの事業を行うカンパニーからの要望があれば移管するという技術開発体制をとっているが、製品化の時期については「100周年を迎える2018年度には、カンパニーに移管して最終的な製品が送りだせるようになればよいと考えている」と井上氏は述べる。
商品化を想定している分野としては、家電用では冷蔵庫やエアコン、産業用では自動販売機やショーケース、生産設備などを想定しているという(図5)。
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