Volter 40の内部には木質チップを燃焼してガスを発生させる装置のほか、ガスエンジン発電機や熱回収装置などを収容している(図3)。自動運転の機能を備えていて、ユニットの側面にあるコントロールパネルのほかに、インターネット経由で遠隔から操作することも可能だ。
発電能力は40kW(キロワット)で、1年間に7800時間(24時間運転で325日)まで稼働させることができる。年間の発電量は最大で31万2000kWh(キロワット時)になり、一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると87世帯分に相当する。
さらに回収した熱から85度の温水を作ると電力に換算して100kW相当、空調に利用する場合には20kW相当のエネルギーになる。電力と熱を合わせたエネルギー効率は78%に達して、都市ガスを利用する一般的なコージェネレーション(熱電併給)システムと同等の水準だ。
燃料に使う木質チップは6.3センチメートル以下の大きさのもので、水分量は15%以下に抑える必要がある。1時間あたり38キログラム(年間に320トン)の木質チップを消費する。北秋田市では間伐材や林地残材などが年間に2700トンも発生している。この全量を使うと、8台のVolter 40をフル稼働させることができる。
すでに国内1号機を市内の「道の駅たかのす」に設置することが決まっている(図4)。道の駅で消費する電力と熱を供給する計画で、地域の木質バイオマス資源を使ってエネルギーを地産地消する取り組みになる。さらにVolter Japanの本社工場にも2号機を設置して、北秋田市を拠点に全国各地に導入事例を拡大していく構想だ。
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