2030年に全戸に設置を目指すHEMSについてもさまざまな問題が残されている。HEMSはZEHやスマートハウスの実現のためには、必須となるもので、デマンドレスポンスの実現などの基盤となるものである。機能的には、電力量などエネルギー消費量の「見える化」、家庭内の機器の「機器操作」、節電や機器連携などの「自動制御」などを行えるとしている(図2)。
HEMSでさまざまな機器の使用などを自動制御するためには、まず分電盤と接続するエネルギー計測ユニットと、情報を収集して管理する情報収集ユニット、各機器の情報を収集し制御するHEMSアダプターなどが必要となる。これらの家庭内の通信については「ECHONET Lite」を活用することが決まっており、それぞれの機器間で情報連携することが可能だ。
しかし、現状では「自動制御」などを行う際のメーカー間ルールなどがまとまっておらず「現状では自動制御を行えるのはHEMSと同一メーカーの機器に限られる」(三島氏)としており、HEMSの利点を家庭で最大限発揮できる状況にはない。基本的には情報連携については可能としているが「機器同士が干渉して機能しなくなるような場合にどういう手順で解決するかというようなメーカー間の連携が必要な場面の整理がされておらず、その点でメーカーの異なる機器の連携ができない状況がある。技術的に課題があるわけではないので、エコーネットコンソーシアムや工業会など、メーカー横断的にこれらの問題解決に取り組む必要がある」と三島氏は述べている。
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