トータルコスト削減に配慮したパワコン、低圧から高圧まで幅広く対応蓄電・発電機器

オムロンは産業用太陽光発電に幅広く対応できる屋外三相パワーコンディショナーを2016年6月から発売する。目標販売台数は3年間で3万台。

» 2016年03月18日 15時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 2012年夏に始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度をはじめ、2015年1月に施行された省令改正における出力制御や、2016年4月からスタートする電力小売全面自由化など、国内のエネルギー関連市場は多様に変化してきた。これに伴う、エネルギー需要と供給のバランスを保ち、効率よく使用するためのニーズは一層広がりをみせている。20年前から住宅向けを中心とした屋内外の単相パワーコンディショナを提供してきたオムロンはこうした多様化するニーズへの対応を目指して、今回「KPTシリーズ」の3製品を市場投入する。

photo 図1 オムロンの新製品「KPT-A123」の外観 出典:オムロン

 新製品は9.9KW/10kW(キロワット)タイプの「PT-A99/A100」(オープン価格)と12.375kWタイプの「KPT-A123」(同)の3機種で、主に公共・産業用の太陽光発電システムに適した屋外設置型での用途を想定する(図1)。2016年4月から順次発売。これまで買取制度により市場形成された発電容量50kW未満(低圧)の小規模太陽光発電システムや、50kW以上の高圧システムにも対応できる幅広いラインアップをそろえた。目標販売台数は3年間累計で3万台としている。

 特に50kW未満(低圧)の太陽光発電システムではKPT-A123を用いると4台(12.375kW×4台で49.5kW)でシステム構成が可能となり、従来主流であった10kWタイプに比べ、導入コスト・施工コストを削減することができる(図2)。また長期間の稼働をサポートする保守運用においても、対象台数が減ることなどで、トータルコスト削減にもつながる。また、50kW以上の高圧システムでは、従来主流であるセントラル型に比べて設置が容易になるとともに、分散型の設置によりリスク分散が図られ、パワコン停止に伴う発電量損失も最小限に抑えることが可能だ。

photo 図2 新製品のシステムイメージ 出典:オムロン

 さらにKPTシリーズは高周波絶縁方式により漏えい電流を防止できるため、従来必要とされていた絶縁の役割を担う商用トランスの設置が不要となり、システムコストを削減することができる。また、トランス(絶縁)機能内蔵にもかかわらず、業界トップレベルの高効率化との両立を実現している。

 同社社従来機種の太陽光発電用モニタ「エナジーインテリジェントゲートウェイ」(2015年4月発売)と併設することで、出力制御の対応が可能だ。将来、出力制御の運用が開始された際にも安心して使用できる。

 この他、防塵・防水規格IP65により塩害に対応。IP65の確保により、塩害地域にも設置可能だ。回路数は1〜7まで設定でき、パネルの回路数に柔軟に対応する。接続箱機能を内蔵しており、接続箱なし入力に加え、接続箱あり入力もこれ1台で対応できる。

 オムロンは低圧から高圧までをサポートする太陽光発電用パワーコンディショナのラインアップと蓄電池をはじめとするエネルギー関連製品を品ぞろえし、関連会社のオムロンフィールドエンジニアリングの140拠点のアフターサービス網と連携しながら、住宅用及び公共・産業用のエネルギー関連市場の普及に貢献している。

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