大量の電力を消費するデータセンターでは、エネルギーの利用効率を表す指標としてPUE(Power Usage Effectiveness)を使う場合が多い。データセンターの消費電力をIT機器とそれ以外に分けて、全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った値がPUEだ。従来型のデータセンターではIT機器の消費電力が全体の半分を占めて、PUEは2.0程度になるのが一般的である(図4)。
高効率の空調システムを採用した最新型のデータセンターでは空調の消費電力が半分以下に減って、PUEは1.5くらいまで下がる。これに対して雪氷熱を利用した「青い森クラウドベース」の場合には空調の消費電力が5分の1程度で済み、PUEが1.2以下になることを想定している。
長岡市の新データセンターでは雪氷と外気による冷房システムの効率をさらに高めて、PUEを理想の1.0(IT機器以外の消費電力ゼロ)に可能な限り近づける。一般的なデータセンターではランニングコストのうち35%程度を空調の電力に費やしている。雪氷熱を利用することでコストを削減できるうえに、CO2(二酸化炭素)の排出量を削減できるメリットも大きい。
加えてデータセンターから排出する暖気を植物工場に供給して、温室栽培も計画中だ(図5)。この構想を推進するために、GEDCの専門家や設備機器メーカー、植物工場の関連企業などを集めた研究会が4月1日に発足した。
新データセンターはインターネット広告会社のメディックスが中心になって設立した「データドック」が建設・運営する。2017年11月にデータセンターが完成する予定で、IT機器を収納するラック500本を備える。1ラックあたり最大で20kW(キロワット)、平均で10kWの電力を供給できる。
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