太陽電池廃棄物のリサイクル、ガイドラインが公開へ法制度・規制(3/4 ページ)

» 2016年04月07日 11時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

使用済み太陽光発電設備の取り扱い

 廃棄物処理については、循環型社会形成推進基本法では「発生抑制(リデュース)」「再使用(リユース)」「再生利用(リサイクル)」「熱回収」「適正処分」の順番で優先順位が定められている。

 太陽光発電設備についても同様の優先順位で処理を行うが、太陽光発電設備には日光が当たると発電するという特性があるため、まずは発電が行われなくするように措置を取ることが重要であるとガイドラインでは示している。さらに、太陽光発電設備の所有者や発電事業者は事業終了時における廃棄費用を見込んでおくことが重要である。廃棄物処理法では太陽光発電設備が産業廃棄物となる場合、適正な処理や費用負担を行うことが求められている(図4)。

 一般的な撤去の流れとしては以下のように定めている。

photo 図4 太陽電池モジュールの一般的な撤去の流れ(クリックで拡大)出典:環境省

 ガイドラインでは、撤去に当たって、所有者・排出事業者および撤去事業者それぞれに向けた留意点なども示している。太陽光発電設備の撤去について生まれる使用済み太陽光発電設備は、原則的には「産業廃棄物」となる。産業廃棄物は基本的には「排出事業者」が廃棄の責任を負うことになる。

 所有者自らが撤去する場合はそのまま所有者が「排出事業者」になる。撤去を事業者に委託した場合は受託した事業者が「排出事業者」となる。産業廃棄物は排出事業者による処理が義務付けられており、適切な産業廃棄物収集運搬業者、産業廃棄物処分業者への委託、適正な対価の支払い産業廃棄物管理票の交付などの処理が排出事業者には必要となる。さらに撤去や停止による出力変更があった場合も各種届け出が必要となる(図5)。撤去事業者については、まず電気工事士法により資格者による工事が義務付けられている。

photo 図5 使用済み太陽光発電設備における排出事業者の考え方(クリックで拡大)出典:環境省

建設業法と建設リサイクル法

 太陽光発電設備は、建築基準法における工作物に当てはまる。太陽電池モジュールは建設リサイクル法における特定建設資材には該当しないものの、建築物と一体で撤去されることが多い点から、撤去工事においては建築業法および建設リサイクル法に基づいて撤去を行う必要があるという。建設業法では500万円以上の建設工事を行う場合は建設業の許可が必要になる。一般的に住宅用太陽光発電設備の撤去は建設工事の内、建築一式工事、屋根工事、電気工事、解体工事のいずれかに当たる。

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