ポストFIT時代にどう立ち向かうのか、太陽光発電は「賢く運用」する時代にエネルギー市場最前線(1/3 ページ)

普及が進む太陽光発電だが、買取価格の低下やメガソーラーの最適立地数の限界が見えてきた点など、将来的なビジネス面での厳しさが予測されている。転機を迎える太陽光発電ビジネスをどう転換するのか。1つのカギとなるのが「太陽光発電設備を賢く運用する」という視点だ。

» 2016年04月14日 09時00分 公開
[三島一孝ITmedia]

 太陽発電ビジネスは、FIT(固定価格買取制度)の開始により普及が一気に拡大した。しかし、FIT価格の低下やメガソーラーの最適立地数の限界が見えつつあることから、転機に立たされつつある。2016年度から非住宅用の太陽光発電の買取価格は27円から24円に下がる(関連記事)。太陽光モジュールメーカーや施工会社にとっては目下、1〜2年前の受注案件の建設などで忙しいが、今後の新規受注案件の減少傾向が続いている状況だという。

 これらの状況の中で重視されるのが、太陽光発電設備の最適な活用である。FITの開始により太陽光発電は大きな注目を集めたが、とにかく「案件を増やす」ということに集中し過ぎたため、きちんとした発電所運営ができていない状況も散見される状況である(関連記事)。こうした発電所の中には、高い売電価格であるにもかかわらず管理が行き届かないために発電量が低下し、計算通りの収入を得られていないケースも多い。この流れの中で注目を集めているのが、「太陽光発電の最適な管理・運用」である。

多角化を加速させるサンテックパワー

 太陽光パネルメーカー各社も住宅向けに注力するなどビジネスの方向性を転換しつつある。その中でグローバルのグループ会社の製品を生かして、エネルギー事業の多角化を目指す企業の1社がサンテックパワージャパンである。サンテックパワージャパンはもともとの母体が、電子部品商社のMSKで、日本市場で太陽電池パネルを35年前から展開してきた。その後、中国のサンテックパワーグループに買収されたが、サンテックパワー自身が2013年に経営破綻に陥った。現在はサンテックパワーを中国の順風光電グループが買収し、その子会社である順風インターナショナルクリーンエナジー(SFCE)の関連会社として運営を進めている。

 SFCEでは多くのエネルギー関連企業の買収を進めている。その中にドイツで太陽光発電システムの遠隔監視システムを提供するメテオコントロールがある。メテオコントロールの遠隔監視システムはドイツの主要電力会社に導入されるなど、実運用で得た実績などを踏まえたシステムである点が特徴だ。サンテックパワージャパンでは、SFCEのグループ力を生かした総合エネルギーソリューション企業への変革を進めるため、このメテオコントロールの遠隔監視システムの国内導入を行うという(図1)。

photo 図1 サンテックパワージャパンが新たに国内展開を開始するメテオコントロールのblue'Log Xシリーズ
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