ガス事業拡大に踏み出す東京電力、24万トンを独占供給エネルギー管理(2/2 ページ)

» 2016年05月10日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]
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「ガス事業の拡大における大きな一歩」

 会見に登壇した東電EP 代表取締役社長の小早川智明氏は今回の提携について「われわれのガス事業の拡大における大きな一歩である」と述べる。東京電力では2013年末に発表した「新・総合特別事業計画」の中で10年後のガス販売量の目標を100万トンとしている。今回のニチガスへの卸供給により、その約4分の1を達成できることになる。

 東電EPがガス事業における強みの1つがLNGの安定した調達力だ。2015年度は国内最大級となる2300万トンを調達している。さらに東京電力と中部電力が設立した火力発電用の燃料調達会社であるJERAなどを通じ、調達をさらに強化していく見込みだ。

 小早川氏は「LNGの調達力、東京湾内に整備されたガス導管などを強みに、今後も安定的に都市ガスを供給していく。そして国で進められている制度設計の様子をみながら都市ガス自由化に積極的に挑戦していく」と述べる。今回のようなガス事業者への卸売という形だけでなく、東電EPから一般ユーザーへの直接販売についても「販売ができるよう検討を進める」(同氏)としている。自前の熱量調整設備の建設についても検討しているという。

 一方のニチガスは都市ガス自由化で約11万件の新規顧客の開拓を狙う方針を掲げた。顧客獲得に向けては「現状より10%程度は価格を下げる必要があると考えている」(和田氏)としており、今後はコスト削減などを進めていく。

 東電EPとニチガスは今後、都市ガス自由化を見据え、都市ガス販売における戦略的アライアンス協議も進めていく。両社の電力・ガス販売におけるノウハウを活用した新たなサービス開発にも取り組む方針だ。

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