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» 2016年05月19日 11時00分 UPDATE

自然エネルギー:福島県産の水素を東京へ、再生可能エネルギーが200キロの距離を越える (2/2)

[石田雅也,スマートジャパン]
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福島県で進む「水素キャリア」の実証研究

 CO2フリーの水素に関する研究開発では、2014年に産総研が福島県の郡山市に設立した「福島再生可能エネルギー研究所(FREA)」の取り組みが進んでいる。太陽光や風力などの再生可能エネルギーで作った電力を使って水を電気分解する技術をはじめ、水素を貯蔵するための「水素キャリア」の製造技術や、水素から電力と熱を効率よく作り出すコージェネレーション(熱電併給)システムを開発して実証中だ(図4)。

図4 水素キャリアの展開イメージ。C6H5CH3:トルエン、C6H11CH3:メチルシクロヘキサン、NH3:アンモニア。出典:産業技術総合研究所

 水の電気分解では水素と酸素を低コストで効率よく取り出せるように、大型のアルカリ水電気分解装置の実証を進めている(図5)。さらに製造した水素を液化して輸送・貯蔵する技術では、トルエンとメチルシクロヘキサンの2種類の有機物を使って常温・常圧で液化する「有機ハイドライド法」に取り組んでいる。並行してアンモニアに水素を取り込んで液化する技術も開発中だ。

図5 水素キャリア製造・利用統合システムの実証設備(画像をクリックすると拡大)。MCH:メチルシクロヘキサン。出典:産業技術総合研究所

 新たに東京都と福島県が締結した基本協定を通じて、産総研の福島再生可能エネルギー研究所と東京都の環境科学研究所で共同研究に着手する。水素エネルギーの利用範囲を拡大するうえで欠かせないエネルギーマネジメントシステムの構築などがテーマになる。

 東京オリンピック・パラリンピックでは再生可能エネルギーで作ったCO2フリーの水素を遠隔地から輸送・貯蔵して、燃料電池自動車や燃料電池バスに供給するほか、競技場や選手村に設置した燃料電池システムで電力と熱を供給する計画だ(図6)。その時に使われる水素の多くが福島県で作られることになる。

図6 東京オリンピック・パラリンピックにおける「水素タウン」の実証イメージ。出典:内閣府
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