再生可能エネルギー100%を目指す福島県、2015年度に26.6%まで上昇自然エネルギー(1/3 ページ)

福島県では2040年にエネルギー需要の100%を再生可能エネルギーで供給する長期ビジョンを推進中だ。第1期の3年間が2015年度で終了するが、太陽光発電の急拡大で目標の24%を大きく上回る。次の第2期では風力とバイオマスを伸ばして、2018年度に28%まで高める目標を設定した。

» 2016年03月29日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」は東日本大震災が発生した2011年3月に策定されて、1年後に内容を改訂した。新たに設定した目標は2020年度に県内のエネルギー需要の40%を再生可能エネルギーで供給できるようにしたうえで、2040年度には100%まで高める(図1)。電力だけではなくて燃料を含めて再生可能エネルギーで供給できるようにする意欲的な計画だ。

図1 「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」の導入目標と進捗状況(需要と導入量は原油換算)。kl:キロリットル。出典:福島県企画調整部

 目標達成に向けて「再生可能エネルギー先駆けの地アクションプラン」の第1期を2013〜2015年度の3年計画で実施した。その結果、2015年度の目標値に掲げた再生可能エネルギーの導入比率24%を上回って26.6%を達成できる見通しだ。特に3年間で太陽光発電の導入量が5倍以上に拡大した効果が大きい(図2)。加えてバイオマス発電も当初の見込みを大幅に超えた。

図2 第1期(2013〜2015年度)の導入量。MW:メガワット。出典:福島県企画調整部

 続くアクションプランの第2期を2016〜2018年度に推進するために、再生可能エネルギーの種類別に導入見込量を設定した。第1期と同様に太陽光とバイオマスを着実に拡大する一方、第2期では風力の大量導入を見込んでいる。3年間に100MW(メガワット)以上の風力発電設備が運転を開始して、導入規模は1.6倍に拡大する見通しだ(図3)。

図3 第2期(2016〜2018年度)の導入見込み。MW:メガワット。出典:福島県企画調整部

 政府も2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて「福島新エネ社会構想」に乗り出す。福島県内で再生可能エネルギーによる電力を大量に作りながら、余剰電力を利用して水素を製造できるようにする。2020年に燃料電池車1万台分の水素を製造して、復興のシンボルになる新産業を作り上げる狙いだ。国と県と民間が一体になって再生可能エネルギーを拡大していく。

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