太陽光と風力は天候の影響を受けて発電量が大きく変動するため、エネルギーの安定供給を考えると小水力・バイオマス・地熱発電も増やす必要がある。小水力発電はアクションプラン第1期の3年間で2000kW(キロワット)が増加した。第2基の3年間には800kWの増加を想定している(図8)。
特に力を入れるのは、県が管理するダムで実施する小水力発電だ。いわき市にある「四時(しとき)ダム」の小水力発電が先行事例で、民間に委託するESCO(Energy Service Company)方式を採用した(図9)。ESCO方式は民間の事業者が資金調達から建設・運営までを担当して、自治体はダムの維持管理費を軽減することができる。この事業スキームを利用して小水力発電を拡大していく。
バイオマス発電は地域の森林資源を活用できる木質バイオマスを中心に増やす。2018年度までの第2期のあいだに導入量を179MWから280MWへ100MW以上も拡大する計画だ(図10)。阿武隈高原の中心地である田村市などで木質バイオマス発電のプロジェクトが始まっている。
地熱発電は導入量こそ小さいものの、先進的な取り組みが進んでいる。福島市の中心部から15キロメートルほどの距離にある土湯(つちゆ)温泉では、源泉から湧き出る高温の熱水を利用したバイナリー発電設備が2015年11月に運転を開始した(図11)。自然のエネルギーを地産地消するだけではなく、温泉街の魅力を高めて観光業の復興に生かす狙いもある。
福島県内には国の復興支援策の一環で、産業技術総合研究所の「福島再生可能エネルギー研究所」が2014年に開設した。この研究所では地熱を含めて再生可能エネルギーを有効に活用するための技術を開発するほか、再生可能エネルギーから水素を製造して輸送・貯蔵する「水素キャリア」の研究も進めている。
国と県が推進するプロジェクトが順調に成果を上げていけば、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、福島が再生可能エネルギーと水素エネルギーで復興する姿を世界にアピールすることができる。さらに2040年までに再生可能エネルギー100%の地域を作り上げて、世界で最先端のスマートシティを形成していく。
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