福島県が2018年度に導入を見込む再生可能エネルギーのうち5割強は太陽光が占める。2016年度は伸びが鈍るものの、2017年度に大幅に増えることを想定している(図4)。というのも福島県内で固定価格買取制度の認定を受けた太陽光発電設備の規模は全国一で、まだ運転を開始していない発電設備が約4000MWも残っているからだ。
太陽光発電は買取価格が年度ごとに低下して認定を受ける設備が減っているが、これから運転を開始する分だけでも導入見込量を十分に上回ることができる。さらに原子力発電所の事故による避難地域を対象に、太陽光発電事業で地域の復興を果たす施策も実施する予定だ。先行事例としては、大熊町の田や畑に太陽光パネルを設置した「大熊町ふるさと再興メガソーラー」が2015年12月に稼働している(図5)。
太陽光に続いて導入量が伸びる見込みの風力発電は2015年度の169MWから2018年度には274MWへ拡大する(図6)。進行中のプロジェクトの中には、福島県が風力発電事業者3社と共同で計画している「福島阿武隈(あぶくま)風力発電構想」がある。風況に恵まれた阿武隈高原に200基の大型風車を設置して、最大で700MWの発電能力になる風力発電所を建設する構想だ。
その一方で洋上では、世界の最先端を行く浮体式による風力発電設備が着々と広がっている。福島県の沖合20キロメートルの洋上にある実証海域で、最初に稼働した2MWの大型風車に続いて、2015年12月から7MWの超大型風車が試運転を開始した(図7)。さらに3基目の5MWの発電設備も2016年度中に稼働する見込みだ。福島県では陸上と洋上の両方で風力発電の導入量が拡大する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.