オーストラリアからを離れて、全世界の状況に目を移してみよう。
GSR2016によれば、2015年、太陽光の新規導入量は50GWに達した(図2)。これは一般的な太陽電池モジュール(出力270W)に換算すると1億8500万枚に相当する。累計導入量は227GWである。
ここ数年ではっきりしてきた傾向がある。欧州など先進国に集中していた需要が、全世界に広がり、新興市場が出現していることだ(図3)。2015年末までに南極大陸を除く全ての大陸で、新規導入量が1GWを超えた。加えて、少なくとも22カ国で1GWを上回った。
図3を太陽光についてのみ、さらに細かく分析した結果が、図4だ。欧州では、太陽光の投資コストは1kWh当たり、1408米ドル(加重平均値)。これに対して、インドは1403米ドルと同水準にある。中国とアジア全域も近い水準だ。
南アメリカ(2249米ドル)や中東(2553米ドル)は投資コスト上不利に見える。だが、設備稼働率を見ると、欧州の12.3%に対して、南アメリカは32%、中東は25.6%と高い。いったん建設してしまえば、元を取りやすいのだ。世界各地に新興市場が広がった理由の1つがこれだ。
アジア市場は3年連続で他の全ての市場よりも成長量が大きくなった。世界の新規導入の60%を占める。中国、日本、米国が主要3市場だ。4位以下は、英国、インド、ドイツ、大韓民国、オーストラリア、フランス、カナダ(図5)。
アジア市場が伸びた一方、GWサイズの市場が幾つもあった欧州では、2015年の導入量が少ない*5)。
*5)欧州は1人当たりの導入量では2015年も他の地域を上回っている。1位はドイツ、次いでイタリア、ベルギー、日本、ギリシャだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.