中国政府は再生可能エネルギー由来の電力の目標導入量を高め続けている。2つ理由がある。1つは深刻な大気汚染問題に対応すること、もう1つは製造業が必要とする電力を十分に供給することだ。
2015年、中国は推定15.2GWを導入、累積量は43.5GWに達した(図6)。累積量では長年、1位にあったドイツを初めて追い抜いた形だ(図7)。中国の累積導入量は全世界の19%に達した。
地域別では新疆ウイグル自治区(2.1GW)が最も多く、内モンゴル自治区(1.9GW)、江蘇省(1.7GW)が続く。上位2地域は人口中心部からは遠い。しかし、中国東部と中央部の6つの省でも累計量が1GWを超えており、普及政策は成果を挙げている。なお、規模別では大規模な地上設置型が86%を占めた。
中国の太陽光はあまりにも急速に成長した。2012年の末には7GWしか累積導入量がなかった。これが3年で6倍以上に増えている。
このような急速な成長は系統と関連して2つの問題を生み出した。1つは系統への負荷、もう1つは系統接続がなかなか進まないことだ。1番目の問題は深刻だ。中国北西部の甘粛省では1年のうち31%の期間、出力が超過。新疆ウイグル自治区でも26%に達した。全国の平均でも12%だ。このため、中国政府は2015年に初めて対策を打ち出し、出力抑制が始まった。
中国で新規に太陽光発電所を建設しようとする事業者には3つの不安があるという。1つ目は不十分な系統容量、2つ目は固定価格買取制度(FIT)の動向、3つ目は太陽電池モジュールの品質だ。
中国政府はどのような対応を取っただろうか。太陽光発電の余剰能力を生かし、新規導入を進めるため、特定の州で系統(変電所)能力を優先的に増強した。多くの電力を必要とする工業を集めたい省で増強した形だ。
この政策は功を奏した。2015年の太陽光による総発電量は、2014年よりも57%多い39.2TWhに達したからだ。
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