地産地消の自立型水素システム、CO2フリー化の敵は太陽電池の置き場所自然エネルギー(1/2 ページ)

東芝が展開している自立型水素エネルギー供給システム「H2One」。再生可能エネルギーで発電し水の供給が得られ続ければ、クリーンで地産地消のエネルギー生活が行える。さらに水しか排出しないという理想が実現できるというが、現実はそうは甘くない。課題となるのは「スペース」だという。

» 2016年06月13日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 東芝は2016年6月9〜10日に神奈川県川崎市で毎年恒例の「第25回東芝グループ環境展」を開催。その中で、自立型水素エネルギー供給システムとして「H2One」への取り組みを紹介した。

 H2Oneは、太陽光発電設備、蓄電池、水素を製造する水電気分解装置、水素貯蔵タンク、燃料電池、水素エネルギーマネジメントシステム(水素EMS)を組み合わせ、1つのパッケージとした自立型のエネルギ―供給システムである(図1)。こうした水素関連設備はさまざまな機器や設備を独自で設計して組み立てるケースが多いが、1つのパッケージとしてコンテナでも運べる手軽さを実現したことが特徴である。

photo 図1:川崎マリエンに設置された東芝の自立型水素エネルギー供給システム「H2One」

 水素を製造するための水の電気分解に必要な電力を再生可能エネルギーで賄い、発生した水素をタンクに貯蔵し燃料電池で発電することで、電力と温水を生み出すことができる。そのため、電力と水を確保さえできれば、二酸化炭素の発生を抑えた地産地消の電力活用が可能となる。水については通常の水道水を貯水タンクにためて利用。燃料電池により発生する温水については温水タンクを用意する。水の電気分解時に発生する酸素については空気中に放出するという(図2)。

photo 図2:H2Oneの構成。CO2の排出を抑えた水素エネルギー提供が可能だ(クリックで拡大)※出典:東芝
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