地熱発電トップシェアの東芝、規制の壁厚い日本よりインドネシアに期待:自然エネルギー(2/2 ページ)
2030年の電源構成目標に対し、地熱発電の発電量も増やしていくことが計画されており、そのために規制緩和が進んでいる。地熱発電の課題としては最適地の大半が国立公園や国定公園内にあり、自由に開発ができないという点である(関連記事)。ただ、これらの動きは徐々に緩和されつつある(関連記事)。
こうした緩和の動きの一方で、東芝では日本の支援の動きは十分ではないと指摘する。「固定価格買い取り制度(FIT)などの状況を見ても、地熱発電は1万5000kキロワット(kW)以上で、調達期間15年で26円。これは10kW以上の太陽光と比べて2円高いだけで調達期間は短い。自然公園との関係性や環境アセスメントなどの負担を考えると、事業運営しやすい状況だとはいえない」(担当者)と問題点を挙げる(図2)。
図2 国別地熱資源量と地熱発電導入量 出典:NEDO
担当者は「日本では地熱発電の導入が広がるにはしばらく時間がかかると見ている。一方で、地熱資源量が世界2位のインドネシアでは政府が地熱発電を再生可能エネルギーの主力電源としようとする動きが出始めている。そういう意味ではインドネシアなどASEAN地域で導入を伸ばす取り組みが中心になると考えている」と述べている。
- 地熱発電の3つの課題−自然公園、温泉、開発期間−
日本には火山が数多くあって、地下では膨大な蒸気と熱水が発生している。自然の地熱を利用して大量の電力を作ることが可能だ。ただし火山地域には国立・国定公園や温泉があるために、発電所を建設できる場所が限られてしまう。運転を開始するまでの開発期間も10年以上の長期になる。
- 地熱発電が途上国に広がる、日本はケニアに抜かれて世界で9位
古くて新しい再生可能エネルギーと言えるのが地熱だ。火山地帯で大量に噴出する蒸気を使って発電することができる。最近はケニアを筆頭にアフリカやアジアの途上国で開発が進んでいる。発電規模では地熱の資源量が最大の米国がトップ。日本は資源を十分に生かせず第9位に甘んじている。
- 全国に広がる地熱発電の開発計画、北海道から九州まで39カ所
地熱発電は国内の再生可能エネルギーの中で開発余地が最も大きく残っている。これまでは発電所の建設に対する規制が厳しかったが、徐々に緩和されて開発計画が増えてきた。現時点で調査・開発段階にある地熱発電のプロジェクトは全国で39カ所に広がっている。
- 地産地消の自立型水素システム、CO2フリー化の敵は太陽電池の置き場所
東芝が展開している自立型水素エネルギー供給システム「H2One」。再生可能エネルギーで発電し水の供給が得られ続ければ、クリーンで地産地消のエネルギー生活が行える。さらに水しか排出しないという理想が実現できるというが、現実はそうは甘くない。課題となるのは「スペース」だという。
- 国内初の地熱発電所を52年ぶりに更新へ、2種類の蒸気で出力2000kWアップ
運転開始から48年を経過した九州電力の地熱発電所で設備更新の計画が進んでいる。現在は地下からくみ上げた高圧の蒸気で発電する方式だが、新設備では同時に湧き出る熱水から低圧の蒸気を作り出して併用する。発電能力は2000kW、年間の発電量は4400世帯分も増える見込みだ。
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