東京電力が大幅な減収減益に、売上高が18%減る電力供給サービス(1/2 ページ)

東京電力の分社化後で初めての四半期決算は厳しい内容だ。売上高が前年から2866億円も減り、利益は4割近く落ち込んだ。販売電力量が減少したことに加えて、燃料の輸入価格の低下が売上高と利益の両面に影響した。黒字は確保するものの、今後も減収減益が続く可能性は大きい。

» 2016年07月29日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 東京電力ホールディングスが2016年度の第1四半期(4-6月期)の決算を公表した。4月1日に持株会社と3つの事業会社に分社して初めての決算で注目を集めたが、想像以上に厳しい結果になった。

 売上高は1兆2649億円で、前年同期から2866億円も減少した(図1)。減収率は18.5%に達して、東日本大震災後で最大の落ち込みである。2016年1-3月期も前年比17.7%の減収だった。売上高が2割近くも減少する状況が続くのは深刻だ。

図1  東京電力の連結決算(上)、販売電力量(下)。出典:東京電力ホールディングス

 さらに営業利益は前年から37.1%減少した。それでも四半期で1436億円の黒字を上げている。原子力損害賠償費による特別損失を除けば、着実に利益を出せる状態にある。当面は減収減益が続いても、赤字に転じる可能性は小さい。

 売上高の内訳を見ると、販売電力量の減少による影響が440億円あるほか、電気料金に上乗せする燃料費調整額が前年から2630億円も減少している(図2)。原油とLNG(液化天然ガス)の輸入価格が大幅に低下したことによる。

図2 売上高の内訳。出典:東京電力ホールディングス

 一方で費用の面では燃料費が1739億円も少なくなった(図3)。前年から4割以上の減少で、震災後に電力会社の収益を悪化させた燃料費の負担は小さくなりつつある。円高が輸入価格の低下を加速させたほか、販売電力量の減少に伴って火力の発電量が減ったことも燃料費の縮小につながっている。

図3 費用の内訳。出典:東京電力ホールディングス
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