NECや東京電力などが取り組む実証プロジェクトでは、リソースアグリゲータに求められる各種のサービスの効果を検証していく。発電事業者に向けて余剰電力の蓄電サービスや出力抑制の補償サービス、需要家にはエネルギーマネジメントや蓄電池のレンタルサービスが考えられる(図4)。
実証プロジェクトに参画した各社は2015年10月から2016年2月にかけて、栃木県の日光市で実際の設備を使ってリソースアグリゲータの事業性を検証した。市内にある太陽光発電設備と工場のコージェネレーションシステム、さらに家庭や事業所に設置した蓄電池を情報通信ネットワークで制御する試みである。
新たに取り組む実証プロジェクトでは日光市の検証結果をもとに、1000kW級の電力を調整できるシステムを構築する予定だ(図5)。家庭や企業の蓄電池と連携した需給調整をはじめ、リソースアグリゲータから需要家に節電を要請するデマンドレスポンスも実施する。
リソースアグリゲータが提供するサービスを実現するためには、ICT(情報通信技術)に加えて電力分野のさまざまな技術を組み合わせる必要がある(図6)。実証プロジェクトを通じて全体のシステムを改善しながら、新たな技術の開発や規格・制度づくりにも取り組んでいく。
図6 「リソースアグリゲータ」の提供サービスと必要な技術(画像をクリックすると開発・検証項目も表示)。DR:デマンドレスポンス、M2M:マシン・ツー・マシン、FACTS:フレキシブル交流送電システム、CVCF:定電圧・定周波数装置、PQ:有効電力・無効電力。出典:産業競争力懇談会経済産業省は2016年度から「バーチャルパワープラント構築事業」に乗り出した。総額29億5000万円の予算で事業者を公募して、7月29日に7つのプロジェクトを採択して補助金の交付を決めた(図7)。各プロジェクトは2020年度までの5年間にわたって実施する計画だ。バーチャルパワープラントを構築して5万kW以上の電力を制御できる技術の確立を目指す。
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