小水力発電機は複数台を水路に直列に並べて設置することで、全体の出力や発電量を増やすことができる。しかし、流れの上流にある水車が回転すると、下流によどみが生まれる。このよどみによって、下流の水車の回転効率が落ちると、全体の発電効率が下がってしまう。そこでNTNでは実証試験の中で、なるべくよどみが生まれない水車の形状と、最適な水車と水車の距離も検証した。
まず、水車の形状ではギアボックス部分に砲弾型のカバーを採用した。これにより水車の後方に生まれる水のよどみやうねりを少なくできるという(図6)。
実証試験では水車と水車を10メートル間隔で設置していた。しかし実証を続ける中で、こうした砲弾型のカバーの採用などにより、実際には数m程距離を縮めても問題ないことが分かってきたという。設置できる間隔が短くなれば、水路長に対してより多くの小水力発電機を設置できる。NTNでは2016年12月の販売に向け、今後もギアボックス部分の形状などの改良を続けていくとしている(図7)。
では一体どれくらいの電力を発電できるのか。3カ月にわたる実証試験の結果、翼径60cmの水車では1日当たり4.3kWh(キロワット時)、同90cmの水車では1日当たり12.0kWhを発電できることが分かった(図8)。90cm水車であれば、1日当たり約1世帯分以上の使用電力量を発電できる計算だ。これはNTNが事前にシミュレーションしていた通りの性能だという。
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