水道の圧力差エネルギー、全国274カ所で1万9000kWの発電能力自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2016年09月15日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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1カ所あたり年間1900万円の売電収入

 小水力発電による電力の供給量が増えることで、CO2排出量は全国で年間に9万2000トンを削減できる(図3)。さらに発電した電力を固定価格買取制度で売電すれば、1kWhあたり34円(税抜き)で年間に53億円の収入を見込める。1カ所の平均額は1960万円になり、買取期間の20年間の累計で4億円近い収入を得られる計算だ。売電収入によって水道施設の維持管理費を軽減できる効果は大きい。

図3 地域ブロック別のCO2削減量ポテンシャル(上)、全量売電による想定収入(下)。出典:環境省

 水道施設で小水力発電を実施する方法の1つとして、水道管そのものに発電設備を組み込む方法がある。環境省の実証事業で開発した「管路用マイクロ水力発電システム」が代表的な例で、これまでに富山県の南砺市、福島県の相馬市、兵庫県の神戸市の水道施設で導入実績がある(図4)。

図4 「管路用マイクロ水力発電システム」の構成と導入例。出典:環境省

 発電能力は1台で22kWと75kWの2種類がある。水道管1本ごとに1台ずつ水車発電機を設置する方法で、1カ所の施設に複数台を導入することも可能だ。相馬市の水道施設では3台を導入して、最大79kWの電力を供給できるシステムを構築した。

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