米TerraSmartは大規模太陽光発電所(メガソーラー)の予定地調査や杭打ち作業に利用できる自律車両を開発。2016年10月には出力42メガワットの建設予定地に投入する。作業員の6倍以上の効率で正確に調査できる第2世代機の計画もある。いずれもNASAの火星探査機(ローバー)の技術を用いたという。
EPC事業者である米TerraSmartは、2016年9月13日、大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設の調査・杭準備作業を無人で実行できる自律型ローバー「Autonomous Precision Survey Rover(APSR)」を発表した。米国市場初の完全自律調査車両だという。米ラスベガス市で開催された「Solar Power International」で、同日に動作する実物を展示した(図1)。
2016年10月中旬には現場に投入する。場所はニューヨーク州南部のロングアイランド島に位置するショアハム。出力42メガワット(MW)のメガソーラー建設予定地でAPSRを3台用いる。
その後、より大型でドリル掘削機能を持たせた第2世代機の運用を、2017年第1四半期に開始する予定だ。最終的には架台の自動設置を狙う。
APSRは、NASAが火星探査で利用したローバー(図2)の技術移転を受けており、さまざま地形で活動できるという。4輪を独立に制御して、その場に留まりながら旋回できる。起伏地での運用もできる。特殊な受動関節サスペンション機構(geometric passive articulation suspension system)を備えているため、最大傾斜角45度の土地であっても時速約18キロメートルで走行可能だ。
直径24インチ(約61センチメートル、cm)のタイヤを備え、車体の高さは地上25.4cm。ガソリンエンジンと蓄電池のハイブリッドシステムで動作する(図3)。24時間の稼働が可能だ。
運用方法はこうだ。Android端末を通じて技術者が見通し距離内にあるAPSRに向けて作業プログラムを送る。するとAPSRが自律制御モードに入り、作業を開始する*1)。
*1) 安全性を担保するために4段階の停止措置を設けた。Androidタブレットや作業者のベルトに設けたボタンを押すことで、APSRに対して緊急停止コマンドを送ることができる。APSR本体には停止ボタンを設けた。オペレーターから800メートル(m)以上離れた場合やあらかじめ計画された領域から外れた場合は自動的に停止する。
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