青森県の太平洋沿岸にある製紙工場で大規模な木質バイオマス発電所の建設計画が進んでいる。海外から輸入する木質チップやパームヤシ殻を燃料に、14万世帯分を超える電力を供給する。2019年6月に運転を開始する予定だ。バイオマス発電用のボイラーにはフィンランドの製品を採用する。
青森県の八戸市にある三菱製紙の「八戸工場」は専用の岸壁まで備えている。海外から輸入する木質チップなどを原料に、パルプから紙まで一貫生産できる国内有数の製紙工場だ(図1)。この工場の構内に日本で最大級の木質バイオマス発電所を建設する。同業の王子グループと共同で総額240億円を投じる一大プロジェクトである。
発電能力は75MW(メガワット)で、2019年6月に運転を開始する計画だ(図2)。稼働中の木質バイオマス発電所では最大の神奈川県にある「京浜バイオマス発電所」(発電能力49MW)を上回る。隣接する岩手県でも太平洋セメントの工場で75MWの木質バイオマス発電所が2019年の秋に運転を開始する予定だが、ひと足早く八戸工場の発電設備が稼働することになる。
年間の発電量は5.3億kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して14万7000世帯分に相当する。八戸市の世帯数(10万8000世帯)をはるかに上回る規模になる。発電した電力は固定価格買取制度で売電して、年間に110億円の収入を得られる見通しだ(図3)。
燃料は海外から輸入する木質チップとPKS(パームヤシ殻)に加えて石炭も利用する。海外産の木質チップやPKSで発電した電力の買取価格は1kWhあたり24円(税抜き)だが、石炭を利用する比率に応じて低くなる。八戸工場のバイオマス発電の買取価格は21円弱を見込んでいる。
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