水素で走る船が東京湾に、燃料電池船の2020年実用化を目指す : 蓄電・発電機器 (2/2 ページ)
改造したらいちょうNに搭載した燃料電池は、定置用固体高分子膜形燃料電池。出力3.5kWのものを2基搭載した。リチウムイオン電池は容量13.2kWh(キロワット時)のものを11個、合計145kWh搭載している。これらの電力を活用し、45kWの推進用電動機を2基使って運航する仕組みだ(図3)。
図3 実証で使用する「らいちょうN」のシステム構成 出典:国土交通省
このらいちょうNは満載時で、最大約11ノット(時速約20.37キロメートル)で運航することができる。今回の実証のために、日本小型船舶検査機構から水素燃料電池塔載状態での航行の認可を受けた。
実証では東京都江東区の東京海洋大学から半径10海里(18.52キロメートル)以内を航行し、実運用船の建造を視野に入れながら、海上での使用における課題抽出を行っていく。この実証で得られた成果は、国土交通省が策定を進めている燃料電池電池船の安全ガイドラインに活用される予定だ。
日本初の燃料電池船が完成、船も水素でCO2フリーに
日本初の水素で動く船が完成した。環境省の実証事業として戸田建設などが開発した燃料電池船で、長崎県五島市の椛島沖で2015年度末まで実証航行が行われる。再生可能エネルギーによる電力で生成した水素を利用して、CO2フリーな航行を実現する。
島の海洋エネルギーで燃料電池船も走る、温泉地には地熱バイナリー発電
長崎県の五島列島で海洋エネルギーの開発が活発だ。浮体式による日本初の洋上風力発電設備が運転中で、余った電力から水素を製造して燃料電池を搭載した船に供給する。県内のテーマパークでも太陽光発電と組み合わせた水素エネルギーの導入が始まり、温泉地では地熱発電の実用化が進む。
輸送船に900枚の薄膜太陽電池、世界最高水準の環境性能で日本と海外を結ぶ
世界最高水準の省エネ・環境保全性能を実現する川崎汽船の大型運輸船「DRIVE GREEN HIGHWAY」が完成した。7500台の車を積める自動車搬船で、CO2や窒素酸化物の排出量を大幅に削減する最先端の船舶技術を集約した。甲板には約900枚のCIS薄膜太陽電池を設置し、一部の電力を再生可能エネルギーで賄う。
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