輸送船に900枚の薄膜太陽電池、世界最高水準の環境性能で日本と海外を結ぶ自然エネルギー(1/2 ページ)

世界最高水準の省エネ・環境保全性能を実現する川崎汽船の大型運輸船「DRIVE GREEN HIGHWAY」が完成した。7500台の車を積める自動車搬船で、CO2や窒素酸化物の排出量を大幅に削減する最先端の船舶技術を集約した。甲板には約900枚のCIS薄膜太陽電池を設置し、一部の電力を再生可能エネルギーで賄う。

» 2016年02月16日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 CO2排出量の削減や省エネルギー化に向けて、多くのエネルギーを消費する海運分野でもさまざまな取り組みが行われている。日本の大手海運会社である川崎汽船は、高い省エネルギー性能と環境保全性能を両立する次世代船舶の実用化に向けた「DRIVE GREEN PROJECT」を進めている。

 そのフラッグシップ船(旗艦船)となる「DRIVE GREEN HIGHWAY」が完成し、2016年2月9日に熊本県長洲港で建造を担当していたジャパン マリンユナイテッドから川崎汽船への引き渡しが行われた(図1)。

図1 完成した「DRIVE GREEN HIGHWAY」の外観 出典:ジャパン マリンユナイテッド

 DRIVE GREEN HIGHWAYは全長約200×幅37.5×深さ38.23メートル、積貨重量約2万トン、総重量約7万6400トンの自動車運搬船だ。2016年4月をめどに大型船舶の運航が可能になるパナマ運河の拡張に対応した船舶で、従来線より大型化を図ることで最大7500台の自動車を積載できる。さらに鉄道車両や建設機械などの運送にも対応している。

 大型化を図る一方で、最新の船舶技術の搭載により環境および省エネ性能を高めているのが最大の特徴だ。従来船と比較して地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量を25%以上、減環境汚染の因子が含まれる窒素酸化物(NOx)を90%以上、硫黄酸化物(SOx)を50%以上削減できるという(図2)。

図2 「DRIVE GREEN HIGHWAY」に採用した主要技術の一覧(クリックで拡大)出典:ジャパン マリンユナイテッド
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