輸送船に900枚の薄膜太陽電池、世界最高水準の環境性能で日本と海外を結ぶ自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2016年02月16日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]
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低NOx・SOx技術を搭載

 DRIVE GREEN HIGHWAYの高い環境性能に貢献している主要技術は以下の通り。主機関には川崎重工業製のエンジンを採用している。燃料に水を添加してシリンダー内の燃焼温度を下げる「水エマルジョン燃料油装置」と「排気再循環システム」、過給機の運転を最適に制御する「過給機カットシステム」を組み合わせ最適化することでNOx排出量を低減している。船舶からのNOx排出量に関する規制は今後強まる見通しで、こうした将来の規制強化にも対応していく狙いだ。

 さらにSOx(硫黄酸化物)スクラバーも導入し、大気汚染の原因でありNOXと同じく排出量の段階的な規制が進んでいるSOxの排出も抑制している。これはエンジンや発電機関からの排ガスを、装置内で散布する海水または清水で洗浄してSOxを分離・吸収し、大気へのSOx排出を抑制するシステムだ。三菱重工業と三菱化工機が共同開発したものを採用している。

薄膜太陽電池を912枚、船内での水耕栽培も可能に

図3 新開発の新開発の船舶用水耕栽培システム 出典:川崎汽船

 DRIVE GREEN HIGHWAYはこの他にも、船首部の形状最適化による空気抵抗の低減、高効率プロペラ、発電機の排ガス回収装置、LED照明、遮熱塗料、最適運航支援システムなどのさまざまな省エネルギーおよびCO2排出量の低減に貢献する技術を採用している。なお新開発の船舶用水耕栽培装置も搭載しており、航海中の乗組員に新鮮な野菜を提供することも可能だという。

 こうした中で特徴的なのが船舶の甲板部分に912枚のCIS薄膜太陽電池を設置している点だ。ソーラーフロンティア製の太陽電池で、総出力は約150kW(キロワット)を見込んでいる。太陽光で発電した電力を使い、甲板用LED照明の電力を全て賄う計画だ(図4)。

 太陽光発電システムの導入により発電機の使用量を抑えることが可能になり、燃料費とCO2排出量の削減に貢献する。ソーラーフロンティアによれば今回搭載したシステムは、船舶向けとしては世界最大規模の太陽光発電システムになるという。

図4 甲板に搭載したCIS薄膜太陽電池 出典:川崎汽船
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