国際エネルギー機関は今後5年間に世界全体で稼働する再生可能エネルギーの発電設備の規模を予測した。前年の予測から13%上乗せして、2021年までの5年間に8億キロワットを超える発電設備が運転を開始する見通しだ。特に風力と太陽光の伸びが大きく、発電コストの低下が導入を促進する。
先進国を中心に世界29カ国が加盟するIEA(国際エネルギー機関)は再生可能エネルギーの中期市場予測レポート「Medium-Term Renewable Market Report(MTRMR)」の最新版をまとめた。2017〜2021年の5年間に再生可能エネルギーを利用する発電設備が全世界で8億kW(キロワット)以上も増加する予測で、前年の同レポートによる予測から13%上乗せした(図1)。
風力を中心に中国の伸びが著しく、米国やインドでも発電設備の増加にはずみがつく。年間の発電量で比較すると、中国では火力や原子力を含めた発電量全体が2015年と比べて1兆2000億kWh(キロワット時)以上も増えて、そのうち半分近くを再生可能エネルギーが占める予測だ(図2)。インドやASEAN(東南アジア諸国連合)、アフリカ諸国でも同様の傾向を示す。
これに対してEU(欧州連合)加盟28カ国や米国、日本では、発電量全体の伸びを上回って再生可能エネルギーの電力が拡大する見通しだ。日本では2021年までに1000億kWh近い電力が新たに再生可能エネルギーで生み出される。電源構成(エネルギーミックス)で10ポイント程度の上乗せが期待でき、2021年には発電量全体の20%以上に達する可能性が大きい。2030年の国の目標値(22〜24%程度)に早くも近づく。
IEAによると、2015年の全世界の発電量のうち23%を再生可能エネルギーが占めて、石炭火力を抜いて最大の電源になった。さらに2021年には28%まで上昇すると予測している。2001年の時点と比較すると、再生可能エネルギーの発電量は2015年に約2倍に増えて、2021年には2.6倍以上の規模になる(図3)。その次に伸びるのは天然ガスで、CO2(二酸化炭素)の排出量が多い石炭火力は2021年まで微増の状況が続く。
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