1社がシェア独占、15年経過したイタリア電力自由化の現在電力自由化、先進国はこう動いた(5)(2/3 ページ)

» 2017年01月16日 07時00分 公開
[グザビエ・ピノン/セレクトラスマートジャパン]

国民投票で原発にNO。高い税金と高発電コスト

 チェルノブイリ原子力発電所事故を受けて、イタリアは1987年の国民投票で、原子力と決別する結論を出した。それまで原子力で行われていた発電は当然、火力などその他の発電方法へのスイッチが必要となり、当然、その原料の輸入が大幅に増えることになり、発電コストが高騰する結果となった。

 このためエネルギーの自由化が実際に開始された2000年当時、すでにイタリアは、化石燃料、とりわけ石油に強く依存をしていたため、ヨーロッパその他の周辺国に比べて、極めて電気料金が高い国となってしまった。しかも、発電に天然ガスよりも石油を多く使用していたため、大気汚染も頭の痛い問題であった。

 ただし、イタリア消費者が最終的に支払う電気料金の高さは、上記のような発電コストにのみよるわけではない。実際のところ、請求書金額のうち純粋に電気代が占める割合は全体の40%で、それ以外は送電などオペレーションのコストが20%、そして残りの40%が税金(再生可能エネルギー関連税金と消費税の両方を含む)となっている。

イタリアの2015年のエネルギーミックス。Coal:4万3600、Gas:10万7600、Other non-renewable:2万1277、Hydro:4万3894、Wind:1万4676、PV:2万5206、Other renewable:2万5785(単位は全てGWh)出典:セレクトラ

 イタリアの電気料金の大きな特徴の一つは、その複雑な電気料金システムにある。具体的には、契約容量により、その料金が電気の使用量に応じ変動する段階制になっている。そして、電気の使用量に応じて1kWh当たりの料金が高くなるという仕組みがとられている。日本では各月の使用量によって電気料金が3段階制になっている一方、イタリアの電気の使用量は年間の使用量で段階制となっている。一例として、3kWhの容量で契約した場合の料金表を下記に示す。

 3kWhの容量で契約した場合の料金(クリックで拡大)出典:セレクトラ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.