世界の製造業とエネルギー産業をけん引する13社がCO2(二酸化炭素)の削減に向けて、水素エネルギーを推進する「水素協議会」を設立した。日本からトヨタ自動車、本田技研工業、川崎重工業の3社が参画。水素を活用した余剰電力の貯蔵・利用や燃料電池自動車の普及を世界各国で推進する。
「世界経済フォーラム」を開催中のスイスのダボスで1月17日に、アジアとヨーロッパの主要企業13社が「水素協議会(Hydrogen Council)」を設立した。日本のトヨタ自動車、本田技研工業、川崎重工業が参画したほか、自動車メーカーのBMW、ダイムラー、ヒュンダイ、鉄道会社のアルストム、ガス会社のエア・リキードや石油会社のロイヤル・ダッチ・シェルなどがメンバーに加わった(図1)。
水素協議会の目的は地球規模でCO2(二酸化炭素)の排出量を劇的に削減するために、水素エネルギーを活用した低炭素型の社会を推進することにある。水素を中心に据えたエネルギーへ移行するための新しい戦略と実行計画を作り上げて、主要な技術の開発と普及を図る。メンバー各社が技術開発に取り組む一方、各国の政府や関係機関を巻き込んで水素エネルギーの普及を加速させる方針だ。
低炭素型のエネルギー社会へ移行するための課題の多くを水素で解決できると想定している。再生可能エネルギーの増加に伴う電力の需給バランスの問題をはじめ、送電・蓄電インフラの改善やCO2の回収・再利用といった課題を水素で克服していく(図2)。水素を輸送手段に利用すれば、電力を届けることができない長距離でもエネルギーを運ぶことが可能になる。
水素協議会は「How hydrogen empowers the energy transition(水素がエネルギーの移行を促す)」と題したレポートをまとめた。その中でCO2削減に向けて水素が果たす役割を7つ挙げている(図3)。再生可能エネルギーの製造から輸送・貯蔵・利用まで、CO2フリーの水素を活用する方法が並ぶ。水素には火力発電所などから回収したCO2と合成して、メタノールや尿素などの有機化合物を作り出す役割もある。
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