100%再エネ企業が18社、日本の消費電力の1割に自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2017年01月23日 14時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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欧州の企業が先行、米国や中国が続く

 RE100のメンバー企業は図1に示したように主に世界の3地域に分布する。欧州が50社、米国32社、アジア5社だ。それぞれの地域ごとに特徴がある。

 最も取り組みが進んでいるのは欧州のメンバー企業。欧州のメンバー企業は2015年、14.4TWhを再生可能由来の電力から調達した。100%の目標をほぼ実現した形だ*5)。主な調達手段はグリーン電力証書と、再生可能エネルギー由来であることを証明された電力の購入(グリーンタリフ)である。

 欧州で最も計画を素早く実行に移したのはノルウェーのElopak。飲料容器を製造する企業だ。2014年時点の進捗率は18%だったが、2015年には86%に達した。2016年の100%実現を目指す。実現手法はグリーン電力証書。

 米国のメンバー企業は、消費電力量の約2分の1を再生可能ネルギーから得ている*6)。2015年の消費電力量は6.8TWh。主な調達手段はグリーン電力証書だ。

 米国で進捗が早いのが金融業のGoldman Sachs。2014年の14%から、2015年には86%に達した。2020年の100%達成を目指す。実現手法はグリーン電力証券だ。

 中国のメンバー企業も健闘している。2015年に消費した電力の約4分の1、0.1TWhを再生可能エネルギーから得た。主な調達手段はPPA、次いで自社サイトにおける発電だ。

*5) 2015年時点で100%を達成済みの企業は、スペインBankia、ベルギーColruyt Group、デンマークDanske Bank、ノルウェーDNB、今回新たにメンバーとなった英Gatwick Airport、スイスHelvetia、オランダKPN、スウェーデンNordea、英Pearson、ドイツSAP、スイスSwiss Post。
*6) 2015年時点で100%を達成した米国企業は、Biogen、Microsoft、Starbucks、Steelcase、Voya Financial、Workday。カナダTD Bankも達成済みだ。

健闘する電気通信サービス業

 RE100の参加企業は主に8つの産業分野に分かれる。最も多いのが金融(23社)、次いで一般消費財、IT、製造業、生活必需品、材料、ヘルスケア、通信サービスだ(図3)。

図3 RE100参加メンバー企業の業種と消費電力量 上から生活必需品(Consumer Staples)、一般消費財、IT、金融、製造業、通信サービス、材料、ヘルスケア 出典:RE100

 図3から分かることは3つある。消費電力量が多いのは生活必需品を扱う企業(47.2TWh)だ。緑色の横棒で示した再生可能エネルギーの利用量が多いのはIT(15.5TWh)。目標に最も近いのは通信サービス(目標を97%達成)だ。

 再生可能エネルギーに由来する電力の比率を高めること、これは今後の企業活動には欠かせない目標だ。企業ごとに活動の進め方や実現手法は異なるだろう。だが、RE100に日本企業の姿が見えないのは残念なことだ。

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