「改正FIT法」の施行日が迫る、買取制度に大きな変化自然エネルギー(2/3 ページ)

» 2017年01月27日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

買取価格の決定に2種類の新方式

 改正FIT法の第2の変更点は買取価格である。従来は太陽光からバイオマスまで、電源の種別に年度ごとの買取価格を決定していた。買取価格が正式に決まる時期は、前年度の3月が通例だ。この買取価格は発電設備が認定を受けた年度で確定して、同じ価格が買取期間を通じて固定で適用される。

 2017年度から買取価格の決定に2つの新しい方法を導入する。1つは複数年先の買取価格まで決定する方法で、事業用の太陽光を除いて適用することになった。たとえば住宅用の太陽光の場合には、2017年度から2019年度までの3年間に、買取価格を2円ずつ引き下げていく(図6)。

図6 電源別の買取価格(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 同様に発電能力が20kW(キロワット)以上の風力の買取価格についても、3年間かけて1円ずつ低減することが決まっている。買取価格を数年にわたって引き下げることで、発電事業者にコスト削減を促し、利用者が負担する賦課金を抑制する狙いだ。

 その一方で地熱・中小水力・バイオマスは2017〜2019年度の買取価格を一律に固定する。発電事業者が開発に着手してから認定を取得するまでに数年かかるため、あらかじめ買取価格を想定したうえで開発に取り組めるようにする措置だ。太陽光や風力のように発電量が天候に左右されない利点があり、開発を促進して導入量を増やす。

 買取価格の新しい決定方法の2つ目は、事業用の太陽光を対象にした入札制度だ。発電能力が2MW(メガワット)以上の太陽光発電設備は2017年度から入札方式で買取価格が決まる。政府が募集容量と上限価格を設定したうえで入札を実施する。

 第1回は2017年10月に実施する予定になっている。募集容量は500MWで、上限価格は2017年度の買取価格と同じ21円に設定する。入札した価格が安い順に落札していき、募集容量に達するまで落札を続ける方式だ(図7)。落札した価格が買取価格になるため、上限価格よりも必ず安くなる。2017年度から大規模な太陽光発電設備の買取価格は20円以下になる可能性が大きい。

図7 入札制度による落札価格の決定方法。出典:資源エネルギー庁

 改正FIT法の施行によって、新たに買取制度の対象になる発電設備もある。既設の発電設備をリプレース(更新)して認定を受けられるようになる。リプレースが認められるのは風力・地熱・中小水力の3種類だ。老朽化した発電設備のリプレースを促進する狙いがある。

 ただしリプレースした発電設備の買取価格は新設の場合よりも低くなる。新設と比べて導入コストが安く済むためだ。風力では2017〜2019年度の買取価格を3円ずつ安く設定した(図8)。地熱では地下の設備を流用する場合には半額程度になる。中小水力は現行の制度でもリプレース(既設の導水路を活用)が対象に入っていて、買取価格が決まっている。

図8 風力発電の買取価格(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 こうしたリプレースの案件を増やすために認定のプロセスにも配慮した。既設の設備を撤去する時点で工事を開始できるように、着工の2年前に認定を取得できるルールを設ける(図9)。風力・地熱・中小水力は建設工事に長い期間がかかることから、認定の取得を前倒しして運転開始を早める対策だ。

図9 リプレース案件の認定プロセス(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

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