大規模な風力発電所(発電能力7.5MW以上)を建設する場合には、事前に環境影響評価の手続きを完了することが法律で義務づけられている。発電事業者が開発プロジェクトに着手してから工事を開始できるまでには5〜7年程度かかるのが通例だ。環境省は最長でも3年程度に短縮できるように、ゾーニングマップを活用した適地抽出手法を構築して風力発電の導入を加速させる狙いだ(図5)。
鳴門市の周辺を含めて徳島県の東側の沖合は風況に恵まれている。洋上風力発電の条件である年間平均風速が7メートル/秒に達する海域が広く分布する(図6)。ただし現在のところ洋上風力発電所を建設する計画は見あたらない。鳴門市の取り組みが実現すれば、開発を加速させる可能性が開ける。
徳島県では2012年度から「自然エネルギー立県とくしま推進戦略」を掲げて、太陽光・風力・水力・バイオマスによる電力の導入量を増やしている。2014年度には県内の電力需要に対する再生可能エネルギーの比率が22%に上昇した(図7)。さらに2030年度には国のエネルギーミックス(22〜24%)の目標を大幅に上回る37%まで高める計画だ。洋上を含めて風力発電だけで4.5%を見込んでいる。
鳴門市の周辺では対岸の淡路島でも洋上風力発電の検討が進んでいる。島の西側の沖合が候補地で、最大100MW程度の適地を抽出する調査を実施中だ(図8)。鳴門市と同様に2018年3月までにゾーニングマップを作成して導入計画を促進する。このプロジェクトも環境省による風力・地熱発電の適地抽出手法を構築する事業の一環で取り組む。
2030年に電力の自給率37%へ、「環境首都」を目指して東京に対抗
洋上風力発電が近海に広がる、着床式で全国15カ所へ
風力発電の導入を法改正で加速、洋上風力も開発しやすくCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10