電力自由化で大躍進の東急パワーサプライ、村井社長に戦略を聞く新電力トップに聞く(3/3 ページ)

» 2017年02月14日 14時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]
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目指すは「新しい地産地消モデル」の実現

SJ 最近ではデマンドレスポンスなど、消費者側の電力需要を抑制する取り組みにも注目が集まっています。東急パワーサプライでは2016年夏に「夏の電気バカンス大作戦」として、クールシェアを実施していましたが、今後もこうした取り組みには注力するのでしょうか。

村井氏 2016年夏に実施した「夏の電気バカンス大作戦」は、大きな成果が出た。これは東急でんきに加入する5万世帯に東急沿線の映画館や飲食店で利用できるクーポン券をダイレクトメールで配布し、夏の電力需要が高まる時期に外の商業施設で過ごしてもらい、みんなで節電に貢献しようという取り組みだ。

 結果的に3カ月のキャンペーン期間中に約1万7000世帯以上の参加があり、約5.2万kWh(キロワット時)相当の節電効果があった。クーポン券を配布して消費者に行動を促すという取り組みは、飲食業界などを中心によく行われているものだが、聞いたところではここまで参加率が高いのは珍しいという。われわれの顧客との強い関係性を生かした取り組みとして、2017年も継続して実施したいと考えている。

 われわれの特徴は、やはり東急線沿線に顧客が限定されているということだ。たまに研究者の方などに、当社はドイツのシュタットベルケのようになるのではないかといわれることもあるが、確かに将来は新しい都市型のエネルギーの地産地消を行う立場にあるのではないかと考えている。

 今日本で進んでいるエネルギーの地産地消というのは、例えば太陽光発電設備を設置して、その電力を自治体が買い取り、地域に提供するというようなモデルだ。しかし都会ではこうしたかたちの地産地消というのは難しい。では「夏の電気バカンス大作戦」のような消費者の生活行動を活用したものなのか、あるいは多摩川の水を利用したものなのか……現時点で具体的なプランがあるわけではないが、顧客数10万件も見えてきて、新電力として一定の規模を持てるようになってきたからこそ、今後は都市型の新しいエネルギーの地産地消というモデルの実現にチャレンジしていきたいと考えている。

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