全国で風力発電の接続状況が最も厳しいのは北海道だ。接続可能量が36万kWしかなく、2016年12月末の時点で34.9万kWの風力発電設備が送配電ネットワークに接続を済ませている(図5)。接続可能量を超えるのは時間の問題である。
地域別に見ると日本海の沿岸部に風力発電設備が集中している(図6)。年間を通して日本海から強い風が吹き、風力発電の効率が高くなる地域だ。今後も最北端の宗谷地方を中心に増加が見込まれている。
北海道電力は風力発電を増やせない状況を改善するため、大容量の蓄電池を複数の地域に導入する方針だ。天候で変動する風力発電の電力を蓄電池に充電・放電しながら、送配電ネットワークを流れる電力を安定化させる(図7)。変電所などに蓄電池を導入するコストのうち、工事費を発電事業者が共同で負担して接続できる風力発電を増やす。
60万kW分の風力発電設備を追加で接続できるように、容量が9万kW程度の蓄電池を導入する予定だ。北海道電力は3月中に募集プロセスを公表したうえで、2017年度内に対象の発電事業者を確定させる。60万kW分の募集が満たされた場合には、第2弾で40万kW分の増加に対応できる6万kW程度の蓄電池を導入することも検討する。
合計で100万kWを追加できると、接続可能量の3倍に相当する風力発電を拡大できる。それによって出力制御を回避できる電力量は7億4700万kWhにのぼる見込みだ(図8)。実に20万世帯分の使用量に相当する。風力発電の適地が広がる北海道で導入量を拡大できるメリットは大きい。
政府も風力発電の拡大に向けて2017年度に総額30億円の予算を投入して、北海道・青森県・秋田県で送配電ネットワークを増強するための技術実証に取り組む予定だ。必要な対策を講じれば、風力発電と太陽光発電が今後さらに増加しても地域の電力を安定して供給できる。日本の将来にとって原子力発電の再稼働よりも重要な課題である。
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