小水力発電と海流発電が離島に、天候に左右されない電力を増やすエネルギー列島2016年版(46)鹿児島(3/4 ページ)

» 2017年03月14日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

鹿児島湾の対岸に2つのメガソーラー

 その一方で鹿児島県の本土側では、太陽光発電からバイオマス発電まで5種類の再生可能エネルギーが拡大中だ。固定価格買取制度の認定を受けて運転を開始した発電設備の規模を見ると、すべての分野で全国のトップ10に入っている(図9)。これは鹿児島県だけで、いかに各種の資源に恵まれているかがわかる。

図9 固定価格買取制度の認定設備(2015年11月末時点)

 太陽光発電では鹿児島湾の埋立地で2013年に運転を開始した「鹿児島七ツ島(ななつじま)メガソーラー発電所」が象徴的な存在になっている(図10)。70MW(メガワット)の発電能力は当時の国内最大だ。その後も巨大なメガソーラーの開発は県内各地で続いている。

図10 「鹿児島七ツ島メガソーラー発電所」の全景。出典:京セラ

 七ツ島から鹿児島湾をはさんで対岸にある霧島市のゴルフ場の跡地では、「鹿児島県霧島市太陽光発電所」が2016年12月に運転を開始した(図11)。30万平方メートルの用地に太陽光パネルを設置して、発電能力は20MWに達する。年間の発電量は2100万kWhを見込んでいる。一般家庭の5800世帯分に相当する電力量だ。霧島市の総世帯数(6万世帯)の1割弱に相当する。

図11 「鹿児島県霧島市太陽光発電所」の全景。出典:juwi自然電力

 このメガソーラーを運営する発電事業者の自然電力グループは、薩摩川内市(さつませんだいし)でも同時期にメガソーラーを稼働させた。周囲に山が連なる3万5000平方メートルの用地に建設して、発電能力は1.8MWである(図12)。年間の発電量は200万kWhを想定している。

図12 「薩摩川内開拓跡地太陽光発電所」の全景(画像をクリックすると拡大)。出典:自然電力

 薩摩川内市では2015年に2基の原子力発電所が相次いで再稼働した。新たに運転を開始したメガソーラーは沿岸部にある原子力発電所から内陸へ20キロメートルほど入った山間部にある。原子力発電所と比べて発電量は圧倒的に少ないものの、市内には風力発電や小水力発電を含めて再生可能エネルギーの電力が次第に増えてきた。

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