再生可能エネルギー供給は4年間で倍増、しかし太陽光発電の伸び率は鈍化自然エネルギー(1/2 ページ)

千葉大学と環境エネルギー政策研究所は、2007年から続けている「永続地帯2016年度版報告書」の研究結果を公開した。国内の再生可能エネルギー供給は、4年で倍増したことが分かる。

» 2017年04月07日 07時00分 公開
[庄司智昭スマートジャパン]

バイオマス発電が急増

 千葉大学と環境エネルギー政策研究所は、2007年から続けている「永続地帯2016年度版報告書」の研究結果を公開した。永続地帯とは、その区域で得られる再生可能エネルギーと食料によって、エネルギー需要と食料需要の全てを賄える区域を指す。

 同報告書では、2016年3月末時点で稼働している再生可能エネルギー設備を把握し、その設備が年間にわたって稼働した場合のエネルギー供給量を試算した。その結果によると2016年3月末時点での供給量は68万1246TJ(テラジュール)で、2012年3月末時点での供給量33万6427TJから4年間で倍増したことが分かった。

再生可能エネルギー供給の推移 (クリックで拡大) 出典:永続地帯2016年度報告書

 太陽光発電の発電量は、2012年7月に施行した固定価格買取制度の影響で増加し続けており、2015年度に国内再生可能エネルギー供給量の半分を超えた。しかし前年と比較した伸び率は2014年が110.0%増なのに対して、2015年は52.3%増、2016年は37.2%増となっている。「伸び率は鈍化傾向にある」(同報告書)とする。

 その他の再生可能エネルギー発電では、バイオマス発電の発電量が急増した。前年と比較した伸び率は2015年が32.3%増、2016年が75.1%増だ。2016年と2012年を比較すると、161.0%増となっている。同報告書では「太陽光発電とバイオマス発電以外は、固定価格買取制度の効果が十分に現れていない」とコメントした。

 地域的エネルギー需要に占める再生可能エネルギー供給量の割合は、2012年が3.81%、その後4.22%、5.39%、6.57%、7.98%と年々増加しているという。

電力自給率100%超えは新たに11市町村

 市町村別にみた電力の自給率は、2015年に引き続き大分県の九重町が1位である。大規模な地熱発電所が3カ所で運転中で、電力の自給率は2338.17%と他を圧倒する。九重町では、新しい地熱発電所の建設に向けた資源調査が2017年5月から行われる予定だ。

 水力発電が盛んな長野県と熊本県にある村が2〜5位を占めた。その他、北海道勇払郡むかわ町(739→40位)や岡山県久米郡久米南町(316→44位)、北海道勇払郡厚真町(285→94位)、福島県石川郡浅川町(475→106位)が大きく順位を伸ばしている。

市町村別の電力自給率トップ20 出典:永続地帯2016年度報告書

 電力自給率が100%を超えた市町村は、2016年3月末の時点で111カ所となった。先ほど挙げた市町村も加えて、1年間で新たに11市町村が加わっている。

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