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» 2017年05月22日 07時00分 公開

日本とアジアをつなぐ国際送電網(1):電力を輸出入する時代へ、世界最大市場の北東アジアに (2/4)

[自然エネルギー財団,スマートジャパン]

中・韓・ロ・日の電気事業者が合意締結

 より規模の大きなプロジェクトもある。世界最大の送電事業者で知られる中国国家電網公司(SGCC)が「グローバル・エネルギー・インターコネクション(GEI)」を2015年に発表した。この構想に基づき、中・韓・ロ・日の4カ国の電気事業者(日本からはソフトバンクグループ)が国際送電網の構築に向けて、2016年3月に合意文書を締結している。アジア・スーパーグリッドとGEIの構想は補完関係にあると言ってよい。

 GEIでは2050年までに世界全体を高圧の送電網でつなぐことを目指している。各大陸内の国際送電網を2030年までに、大陸間の送電網を2040年までに構築する計画だ。アジアでは日本を含む北東アジアの他、中央アジア・東南アジア・南アジア・中東の5地域を対象に、水力・風力・太陽光といった自然エネルギーの電力を大量に供給できる国際送電網を想定している(図4)。

図4 「グローバル・エネルギー・インターコネクション(GEI)」構想におけるアジアの国際送電網。出典:グローバル・エネルギー・インターコネクション発展協力機構(GEIDCO)

 こうした国際送電網への取り組みは、構想だけにとどまらない。実際にロシアのサハリンから日本まで、海底送電線を敷設する事業可能性の調査を2000年代の前半に実施したことがある。海底ケーブルの実績が豊富な住友電気工業(SEI)の他、丸紅、ロシアの「統一電力システム」(当時)が調査に参画した。「日露 Power Bridge Project」と名づけた調査で、サハリンの火力発電所から北海道の石狩を経由して新潟の柏崎までを海底ケーブルでつなぐ(図5)。

図5 「日露 Power Bridge Project」のケーブル・ルート。出典:「『京都議定書』と北東アジアエネルギー・資源・環境・経済圏」、畑良輔、SEIテクニカルレビュー2005年9月

 現在のところ日露 Power Bridge Projectは事業化に着手する状況には至っていないものの、2016年にロシアのプーチン大統領が改めて極東地域から日本へ電力を供給するプロジェクトの再開に向けて日本側に提案を出した。2017年に入って両国の政府の間で広範囲に及ぶ経済協力の協議が進んでいるが、その柱の1つが電力を含むエネルギーの分野である。日本向けの輸出を拡大したいロシアにとっては、国際送電網を通じた電力の輸出は魅力的に映る。

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