徹底した省エネを、政府が夏季の取り組みを発表:法制度・規制(2/2 ページ)
各産業界には「住宅・ビル」「工業・事業場」「運輸」に分けて、省エネルギーの協力要請を掲げた。まず住宅・ビル業界には、建築物省エネ法に基づく建築物の省エネルギー基準を踏まえ、断熱材の利用など的確な設計および施工を行うことを挙げる。
また「ディマンドリスポンス」に対応した時間帯別・季節別の電気料金メニューが選択できる場合はその活用に努めるとともに、エネルギー管理システム(BEMS、HEMSなど)の導入による、ピーク対策と省エネルギー対策を推奨した。
家電機器やOA機器といったエネルギー消費機器の購入には、省エネ法に基づくトップランナー基準の達成状況を示す「省エネルギーラベル」、米国環境保護庁が定めた国際的省エネルギー制度による「国際エネルギースターロゴ」、政府や事業者が提供するエネルギー消費効率に関する情報などを参考にすると良いという。「初期投資負担を伴うものの、中長期スパンで回収できることに留意すること」とコメントした。
国際エネルギースターロゴ(左)と統一省エネルギーラベル(右) 出典:省エネルギー・省資源対策推進会議省庁連絡会議
工業・事業場業界には、2016年度から開始した「事業者クラス分け評価制度」によるS・A・B・Cの評価を踏まえ、下記の省エネ施策の実施を推奨した。
- 事業者全体としての管理体制の整備、責任者の配置および省エネ目標に関する取り組み方針などの策定を通じて、省エネルギーを推進すること。
- 省エネ法の「工事等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準」に基づく設備の管理基準の策定など、適切なエネルギー管理を実施すること。
- 省エネ法の「工場等における電気の需要の平準化に資する措置に関する事業者の指針」に基づく電気需要平準化時間帯における電気の使用から燃料または熱の使用への転換、電気需要平準化時間帯以外の時間帯への電気を消費する機械器具を使用する時間の変更など、電気需要平準化に資する措置を実施すること。
運輸業界に対してはエネルギー管理の実施の他、公共交通機関の利用促進やエネルギー消費効率の良い輸送機関の選択、エコドライブの実践を提案した。
なお省エネルギー・省資源対策推進会議省庁連絡会議が今回公開した「夏季の省エネルギーの取組について」は、こちらのWebサイトから全文を閲覧可能となっている。
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