太陽光発電の安全対策を強化、設計施工の標準仕様を策定へ太陽光(1/2 ページ)

経済産業省は太陽光発電所の安全対策の強化に向け、設計および施工の標準仕様を策定する方針だ。2017年3月21日に開催された第15回 電力安全小委員会では、その骨子が示された。

» 2017年03月30日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 2017年4月から改正FIT法が施行され、太陽光発電事業をとりまく環境は大きく変化する。設備認定が事業計画認定へ変わり、設備の安全対策や運用保守の重要性がこれまで以上に強く求められる。

 現在、改正FIT法の施行に向けて、既に運転を開始している発電所を含め、新しい認定制度への移行が進んでいる。一方、この背後で議論が進んでいるのが、太陽光発電所の設計施工に関する基準の策定だ。2017年3月21日に開催された第15回 電力安全小委員会では、設計施工の基準策定に関する今後の方針が示された。

設計施工の基準策定へ

 改正FIT法における新認定制度では認定の基準として、保守点検や維持管理の計画、関係法令の順守、設備の廃棄計画などが挙げられている。つまり主には「事後の運営」に評価の重きが置かれている。

 一方、太陽光発電設備については台風によるパネルの飛散や倒壊など、公衆安全に影響を与える損壊被害も発生している。経産省の調査によるとこうした背景には、「設計基準風速を把握していないなど技術基準を正確に理解していない」「安全裕度がほとんどない」「不適切な施工方法により設計強度に達していない」といった原因が散見されたという。

 そこで「事後の運営」だけでなく、設計や施工といった「事前の工程」についても標準仕様の策定を行い、さらなる安全対策を強化しようという動きが進んでいる。経産省はこれまでも500〜2000kWの設備を使用前自己確認の届出対象に追加するなどの施策を行ってきたが、全ての規模の太陽光発電所を対象とする設計施工の標準仕様を明示する予定だ。

 具体的には基礎の設計例などの標準仕様を、経産省が定める技術基準の中に例示し、強度計算を実施しない場合の地上設置型の設計は、この標準仕様に準拠することを求める方針だ。標準設計例の提示について、2017年度中に電気設備の技術基準の解釈解説を改正していく。

標準仕様のイメージ図 出典:経産省
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