図3は蓄電池と給湯機の最適運用による357世帯平均の年間コストメリットと、蓄電池の単純償却年数を示したものとなる。電池の価格は9万円/kWhと、資源エネルギー庁が2020年の目標に定めている数値を想定。2〜10kWhの蓄電池を家庭用太陽光発電保有世帯に導入して余剰発電を貯蔵し、夕方以降放電すると1万〜3万2000円/年のコストメリットが生じる。しかし蓄電池容量が大きくなるにつれて、コストメリットは飽和する。
蓄電池容量が小さいほど償却年数は短くなっているが、最も短いものでも、電池の公称寿命である10〜15年では電池のコストを回収できない結果となっている。
図4は、ヒートポンプ給湯機最適運転と電池の導入による正味の電力消費量と自家消費率の変化を示している。蓄電池の場合、充放電によるロス(それぞれ90%)が発生するため、正味の電力消費量は電池がないベースケースに比べて大きくなる。
最適運転を行うと省エネになるため、正味の電力消費量が8%減少したという。また家庭用太陽光発電自家消費率は、ベースケースの32%から45%に増加。2〜4kWhのバッテリー導入による効果に相当するものであることが確認されたという。
研究グループは今後、実フィールドで実機に導入可能なヒートポンプ給湯機の運転方法を検討するなど、より現実的な自家消費量拡大効果を評価していくとした。
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